クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • SPORT
  • 足だけで運転してエコラン競技! 高校3年生の父と二人でのチャレンジに密着【エコマイレッジチャレンジ2023】
SPORT
share:

足だけで運転してエコラン競技! 高校3年生の父と二人でのチャレンジに密着【エコマイレッジチャレンジ2023】

投稿日:

TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

サブドライバーには父親が乗り込む

その「2人乗りクラス」のドライバーである松永健由さん。両腕がない状態で生まれ、生活は足を使ってすべてをこなす。この高校の機械科の3年生であるが、普段の学校生活の中でも、足を使って授業のノートを取り、作業も同様にしている。向の岡工業高校生として最後の挑戦に、自身がドライバーとして参戦することとなったのだ。「来年は出よう」と2022年のエコマイレッジ大会直後に決めていたそうだ。

2022年、2021年と同校から参戦はしていたものの、マンパワーの問題で普通の3輪マシンで手いっぱいだったようだ。しかし、2023年は3年生で最後だし……ということで新たに車両を製作した。

普通に考えれば、松永さんは2人乗りのサブドライバー役ということになるだろう。しかし「それじゃつまらないよね」ということで、「出場するためにどうしたらいいか?」、「どうしたら松永さんが運転をできるか?」を考えに考えたという。

松永さんが運転する=足で操作できるようにするのである。加減速についてはペダル操作でイケるということとなった。しかしステアリング操作については、ずいぶん悩んだという。体重移動であったり、足でのステアリング操作であったり、いろいろな操作法を検討したが、結果的にはドライバーズシートを回転させる機構を持たせ、シートの下にワイヤーを通しその回転動作にステアリングが連動するようにしてステアリング操作をするシステムとなった。

これだけでは危険なので、バックアップとして、サブドライバー席には普通のハンドルも用意し、操作ができるようにしてある。アクセルについては、ドライバーズシートに座る松永さんが操作することとなる(サブドライバー席には緊急用のブレーキレバーだけ備え付けてある)。

ホンダ マイレッジチャレンジ

ペアを組み、万が一の時のサブドライバーとして乗り込むのは、同じ自動車部の学生ではなく、松永さんのお父さんである松永敏幸さん。高校3年間、家族の支えもあったということで「お父さんと一緒に出場しては?」との先生からの提案があって、このペアでの参戦となった。

7クラスが決勝を走行するこのエコマイレッジ チャレンジ。午前9時10分から最初のクラスが走行を開始するが、2人乗りクラスの#602 向の岡工業高校 自動車部Cは、午後12時15分にスタート。もてぎのオーバルコース(1周1.5マイル=約2.4km)3周の計測を行った。

途中で止まることなく1周5分のペースで淡々と走り続けた602号車は午後12時31分には無事にゴールに戻ってきた。燃料は277.10gでスタートし、ゴール後の計測では242.09gとなった。密度は0.745で計算された今回、その消費量は46.990cc、燃費は145.908km/Lという結果となり、2人乗りクラス3位を獲得した。

「今年はマシンを作るのが精いっぱいだったので、今後はカウルをつけて空力を考えたいし、エンジンもノーマルのまま。まだなんの調節もできていない。まだまだ進化幅はあるので、それに挑戦していくのもありだと思います」

と語る松永さんは進学することになるわけだが、自動車部の先生もこの2人乗り車両の進化に前向きだ。

「そこ(進学先)でもさらに乗っていきたいというのなら、チームOBとして継続しての参戦も協力したいですね」

またHondaエコマイレッジ チャレンジは、2024年からはカーボンニュートラル燃料を使用することになるため、しばらくは各チームがマシンにさらに手をかけていくことになる。この2人乗りマシンも今後さらに進化をして記録を伸ばしていく姿に期待したいし、見守っていきたい。

12
すべて表示

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS