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炎天下で熱くて蒸れる「レザーシート」に未来はあるか? レザーを取り巻く現状と長持ちさせるコツに代替素材を紹介します

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: トヨタ自動車/AMW編集部

かつては高級車の象徴だったレザーシート

レザーシートと聞くと高級車のイメージがありつつも、最近では身近な存在になってきていて、実用車でも上級グレードに設定されていたりする。布シートにはないしっとりとした座り心地で、身体全体を包み込んでくれるフィーリングが楽しめるし、見た目からして高級感があふれていて、お高い装備ではあるが満足度も高い。

じつは快適性を追求して進化し続けている

ただ、実際に使っていると不満点というか気になるところが出てくる。それが熱さや蒸れだったりする。勘違いしている人がいるが、本革シートは皮をなめしたうえで、塗装して作られている。つまり被膜で覆われているわけで、熱くなったり、蒸れたりするのは当然。繊維で作られている布シートのほうが通気性がいいのでサラリとするし、蒸れにくい。

パンチングレザーと呼ばれる加工がされている場合、レザーシートの表面を見ると細かい穴が空いているが、これは蒸れ防止のための通気孔。さらに高級車ともなると、ベンチレーター(ファン)が内蔵されていて、内側から表面に対して換気を行なうことで、快適性が高められているなど、対策もいろいろ。根本的にもなめし方や塗料、形状などによってできるだけ蒸れないような配慮もされていて、とくに欧州の高級ブランドでは進化を続けている。

日頃からまめに水拭きすることで快適性が長もちする

レザーシートにはシートヒーターが付くことも多いが、それは冬になると表面がひんやりとしてしまうからで、いずれにしても気温に対しては気になるところが多い素材と言っていい。では炎天下の場合、どうすればいいのか? 黒いレザーはとくに熱くなりやすく、場合によってはいきなり座るのは、はばかられるほどだ。

まずは乗り込む前に窓やドアを開けて、換気をして少しでも車内の温度を下げる。レザーのいいところは布のように内部からどんどんと熱が出てこないため冷えやすいところで、エアコンをかければ表面の温度は下がっていく。冷却スプレーも表面に広がる感じで効果が出やすい。そのほか、根本的に対策したいならシートカバーというのも手だが、こちらはせっかくのレザーシートの雰囲気を壊してしまいかねないので考えものではある。

快適性という点では日頃のお手入れも重要だ。夏場は蒸れてペタペタしやすいため、これがまた不快に繋がってしまう。表面にも汗や皮膚からの脂が付いて不快の原因になるので、定期的なクリーニングで表面をサラリとさせておくといいだろう。その際に強力なクリーナーを使うと表面の塗装や革自体もダメージを受けるので、一般的なレベルであれば水拭きで十分だ。

多様化し続けている人工素材の未来に注目

最近では蒸れ対策もあって、ツルツルの本革シートは減っていて、アルカンターラやウルトラスウェードなどの人工のバックスキンの採用が広がっている。本革を使うにしても、身体が密着しないサイド部分だけだったりする。また環境面や動物の革を使用すること自体への配慮もあって、いわゆるビニールレザーの使用も広がっていて、こちらは昔のようなツルツルテカテカではなくて、かなり本物に近い風合いを実現している。さらに言うとビニールレザーは石油由来のため、これを植物繊維に置き換える試みもある。

かなり早いスピードで進化をしていて、表面の処理も蒸れ対策や風合いを含めて、自由度も広がってきているだけに、サラリとした通気性の高いレザー調シートというものができる時代がやってくるかもしれない。

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