ソニカ:走りの上質さも備えたツアラーだった
もう1台のソニカも、わずか3年でカタログからドロップしてしまったのがなんとも惜しかったモデル。1470mmと低めの全高にセットされたロングルーフ&ワンモーションのスタイルが、とにかく垢抜けておりスタイリッシュだった。後方に向かって切れ上がったサイドウインドウは小さなリアクオーターウインドウ付きの6ライト構成で、専用にしつらえたメッキのアウタードアハンドルなど、軽自動車らしからぬ上質感も感じられた。
インテリアも当時の軽自動車では最大の室内幅(1320mm)をとり、シートサイズの余裕が大きかったほか、後席もゆったりとした着座姿勢が作られていた。フォルム自体はホンダの初代「トゥデイ」を連想させるものだったが、4ドアであるところがポイントで、今この原稿を書きながら「もう1度乗ってみたい」の思いが込み上げてくるほど他車にない存在感のあるクルマだった。
それとメカニズム面も意欲的で、新開発だったCVTには、当時世界初のトルコンを組み合わせたインプットリダクション方式の3軸ギヤトレーン構造を採用。優れた動力伝達効率と変速ショックとタイムラグのないスムーズな加速を実現していたことも大きな特徴だった。搭載エンジンは3気筒DOHC 12バルブインタークーラーターボ(64ps/10.5kgm)、サスペンションは軽自動車としては手厚い前後スタビライザー付きとするなど、走りにもこだわりを見せていた。またレーダークルーズコントロールをメーカーオプションで設定していた。
今思うと、商標か何かの事情があったのかもしれないが、登場前年のショーカーに付けられていた「SKツアラー」のほうが抽象的なソニカよりも車名として相応しかったのでは? などとも思えるクルマだった。