オールペンで費用を安く済ませる方法
この156の場合、現在ではウェザーストリップなどといったゴム系部品が欠品しています。また、旧いクルマなので樹脂系部品の劣化などもあり、現状は問題がなくても取り外すと割れる、という可能性もあります。そういう場合に考えられるのが、窓やライトなどをマスキングした状態で塗装をおこなう、という方法です。
このやりかたは、元の色と同じか、あるいは同系色でペイントするならボンネットやドアを開けたときの違和感が小さくてすみます。塗装代も塗料の使用量が少なく、また大物を外すという作業もないため、完全なオールペンと比べれば安く済みます。ただ、このやりかたはあくまでも見えている部分を塗るだけなので、端から塗装が剥がれてきやすい、という傾向もあります。
仮にですが、完全に部品を外して塗るオールペンが新車時に近いクオリティで20年持つ、というものだとするなら、このやりかたは10年はいけるかも、という感じでしょうか。もちろんこれは、塗装をおこなってくれる人のスキル次第で大きく違ってくるものでもあります。だからこそ、オールペンを考えているならよくよく調べて、上手な人、上手なお店に依頼をしましょう。もちろん、そのぶん技術料は高くなりますが。
オールペンの代わりにラッピングという手段も
ゴム系部品がない、という現実から、オールペンをする場合にはマスキングして見えているところだけを同色で、となってしまう156。であるならラッピングできれいに見せるという手もあります。
ラッピングというのは、耐候性が高く伸縮性のあるプラスチックフィルムをボディに貼って仕上げるもの。路線バスや電車の広告車両などでも使われていて、フィルムはさまざまな文字やイラストなどを印刷できるため、イタ車ならぬ「痛車」の多くもラッピングで仕上げています。レーシングカーのスポンサーネームやカラーリングなども、ラッピング仕上げがほとんどです。高級車などの場合には、新車時のボディを保護するという意味から、納車されたらすぐに全面ラッピングをする、ということもあるそうです。そうしておけば、フィルムを剥がせば新車時のボディが現れるわけで、クルマを大事にしたいということに加えて、リセールという部分でも有利なのかもしれません。
ラッピングには欠点もある
このラッピング、フィルムを貼るということは、当然端のほうは剥がれやすい、ということになります。ラッピングを施工する際には、ドアやボンネット、トランクリッドなどの端の部分は折り込んで剥がれにくくしていますが、それでも温度変化の影響によってわずかとはいえフィルムが伸び縮みしますので、数年単位で見た場合には剥がれが気になってくるはずです。とはいえ、それは見える部分だけのオールペンでも同じといえば同じ。必要となる予算的にも、全面ラッピングと見える部分だけのオールペンならほぼ同等です。
問題となるのはやはり費用
ではこのどちらを選べばいいのか、です。まず見える部分だけのオールペンをするのであれば、純正で採用されているスタンドックス製の塗料で元の色と同じメタリックシルバーにしたいと思っています。ラッピングを選ぶ場合には、せっかくなのでマットシルバーのフィルムを使ってもらえば、いま風でいいのではないでしょうか。
しかし問題は、どちらを選ぶにしても必要となる、およそ30〜50万円といった費用。なにせ来月は「ヴィッツターボ」の車検、年明けすぐにはこの156も車検が控えています。まずはそちらをクリアしなければ走ることさえできません。いっそこのまま、ナチュラルへアラインシルバーでもいいか、とさえ思いつつ、こうやって悩んでいるときが一番楽しいのかな、などという思考に陥ってしまうのは、機能的にとくに問題がなく走れてしまっているからなのでしょう。