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ポルシェ「911GT3RS」の外観はもはやレーシングカー! GT500マシンのようなデザインには理由がありました【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: PORSCHE

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派手なルックスは見掛け倒しではない!

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「ポルシェ911GT3RSの空力」についてです。空力本格レーシングカーのような外観が与えられていますが、それらを採用しているのは理由があるのです。ニュルを戦うレーシングドライバー目線で、ポルシェ911GT3RSの空力性能を解説します。

こだわり抜いた造形は圧倒的なダウンフォースを生む

「ポルシェ911GT3RS」はサーキットから舞い降りた、究極の公道スペシャルだといっていいでしょう。その空力的な追い込み方は、実際にサーキットで勝利することを最大の目的として開発されたレーシングカー級に徹底しているのです。

走行イメージ

たとえばフロントはセンターラジエターへ変更に。これまで左右と中央に3分割されていたラジエターが大型のラジエターに置き換えられました。それによって左右に空いたスペースに、可変式のフラップを組み込んだのです。

ボンネットに空いた大きな穴は、フロントから吸い込んだ空気を可能な限り速い速度で抜くためのものです。つまり、たくさんの空気を吸い込んで素早く抜き去ることで、フロントに強烈なダウンフォースを発生させるのです。

左右のフェンダーにもルーバーが刻まれています。タイヤハウス後方も大胆にカットされ、タイヤが剥き出しに。これも、フロントから吸い込んだ空気をサイドに分割整流させるためですね。

これほど大胆にボディに「穴」を開け、ダウンフォースを得ようとしているモデルは、スーパーGTのGT500クラスマシンなどの特殊なレーシングカーを除いて見たことがありません。それほどポルシェ911GT3RSは空力の化け物なのです。

ただ、エアロ効果の追及はそれだけに留まりません。リアウイングは、湾曲したフラップを上から吊り下げる「スワンネック」を採用。しかも2分割されています。

ウイングは、板の上面にあたる風の力を利用してボディを下に押しつける力、つまりダウンフォースを発生させているのではなく、上面より下面の流れを速くすることで効果を高めています。ですから、可能な限り下面の障害物を減らしたい。そのために開発されたのがスワンネックです。横から見た時に、白鳥に似た形であることからその名がつけられました。しかもそれは、速度によって最適な角度に可変します。

リアエンドのマフラーが中央に寄せられたのは、余裕のできた左右の空間から、ボディ下面に吸い込んだ空気を効率的に逃すことでダウンフォースを発生させるための細工です。ルーフにも直線的なフィンを設けることで、エアロ効果の効率化を進めています。おそらくリアウイングに強い風を当てるためでしょう。これらの処理によって、200km/hでは409kgという強烈なダウンフォースを生みます。285km/hではさらにその倍の860kgの力を発生させるというのです。

実際にサーキットを走ったところ、まさに路面に吸い付く感覚が味わえました。速度を出せば出すほどマシンが安定する。その不思議な感覚はまさに、ポルシェ911GT3RSが空力マシンだからなのでしょう。

ポルシェ911GT3RSには現代最高のエアロダイナミクスが与えられています、その見えない効果を想像しながらボディを眺めているだけで、楽しくなりました。

>>>歴代ポルシェ911を振り返る!

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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