超限定生産の国産スーパースポーツ
海外の自動車メーカーでは、スポーツカーをベースにワンオフに近いチューニングをおこなった、スーパースポーツとでもいうべきモデルがある。しかし日本の自動車メーカーのほとんどは、大量生産を念頭にモデルの開発や生産工程の構築をおこなっているため、そういったモデルはほとんどないのだが、皆無というわけでもない。今回はそんな超稀少な国産スペシャルモデルを紹介しよう。
海外メーカーには割とある超稀少なスペシャルモデル
海外の自動車メーカーでは、スポーツカーをベースにワンオフもしくはフューオフモデルが存在する。たとえばランボルギーニ「アヴェンタドール」がベースとなった「チェンテナリオ」がそうであるし、「ミウラ」をベースにした「イオタ」などは有名だろう。もともとこういったメーカーは、顧客の要望に応えて仕様を決める、ビスポークがあたり前となっているところもあるので、少量生産をしやすいという面もあり、そもそもとんでもないクルマをつくりやすいという土壌があるのかもしれない。
しかし日本の自動車メーカーのほとんどは、大量生産を念頭にモデルの開発や生産工程の構築をおこなっていることから、オプション品としてのバリエーションは充実できても、細やかな仕様変更には応じにくい、という傾向がある。しかしそんな中でも、「こんなクルマをつくっちゃったのか」というモデルがないわけではない。今回はそんなスペシャルなモデルをいくつか紹介しよう。
ホンダ NSX-R:GTレースに参戦するためのホモロゲーションモデル
まず取り上げるのはホンダの「NSX」をベースにつくられた「NSX-R GT」だ。2005年に発売されたこのクルマは、スーパーGTのGT500クラスに参戦するためのホモロゲーションを得るために市販されたもの。
1990年に発売されたNA1型から進化を続け、1997年には排気量を3.2LとしたNSXだが、2002年にボンネットやリアディフューザーなど、おもに空力面の改良を受けた「NSX-R」がデビューした。これが、NSX-R GTのベースとなっている。ノーマルのボディから全長と全幅を大幅に拡大しているが、理由は当時のスーパーGTにおけるレギュレーション上の必要があったから。リアに装備されているインテークも、市販モデルではフタがされていて機能していないが、スーパーGTマシンではエアインテークとして機能させるために装備されたものだ。
NSX-R GTの価格は5000万円。素のNSX-Rが1300万円くらいだったことを考えると恐ろしいほどのプライスだが、しかし実際にはこの価格でも到底割に合わないくらいのコストが掛かっていると、当時のホンダ関係者はいっていた。しかも、5台つくられたのだが、実際に市販されたのは1台のみ。まさに超スーパースポーツカーといっていいクルマだ。