日本でいう「ツライチ」を英語で表現すると?
ツラウチ状態からタイヤを外に出していくと、ツラとタイヤが同一面、つまりピッタリの状態となる。この状態が「ツライチ」だ。カスタムカーの世界では見た目の迫力のため、フェンダーギリギリまでトレッドを広げた状態。当然フェンダーとタイヤの縁がツライチとなるので、サスペンションがストロークするとフェンダーに当たってしまう。そんなギリギリを楽しむのがツライチというわけだ。
このツライチ状態は、日本独特のカスタム文化で、1990年代に日本車をベースとしたスポコン(スポーツコンパクト)ブームがアメリカで人気となると、このツライチ文化もアメリカに渡ることとなる。
この状態を単純に英語にしたのが「flush」(「同一平面上の」という意味)で、これを大げさにスラングで表現した「Hell of a flush」(超〜ピッタリ!)から「Hellaflush(ヘラフラッシュ)」という言葉が生まれたのだ。この言葉は瞬く間にポピュラーになり、日本にも輸入され、「ヘラフラ」という言葉が日本でも使われるようになった。つまり「ツライチ」が太平洋を往復した結果、「ヘラフラ」になったというわけだ。
最近は言葉も細分化し色々な用語が乱立中
そんな「ヘラフラ」という言葉だが、最近はあまり聞かなくなった。その一番の理由は、フェンダーとタイヤの具合を表現する言葉がここ数年でさらに細分化されてきたからだ。
最近では日本語で「ツラ具合」に該当する「fitment」や「stance」という言葉をよく聞くようになった。またホイールにタイヤを引っ張って装着し、エアサスで車高を下げるとリムの縁にちょうどフェンダーが接触するオフセットを特に「rim shot」と呼んだり、リムと引っ張ったタイヤの隙間にフェンダーがめり込むような状態を「pole stance」と呼んだりするようになった。これら用語は人によって微妙に定義が異なることもある。まさに生きた言葉なので、今後も細分化され、どんどん新しい表現が生まれていくことだろう。