1冊400~500グラムの重量級カタログ
2代目トヨタ「センチュリー」のカタログは、クルマの風格にふさわしく紙のケースに入ったハードカバー仕立てだった。トヨタ自動車の広報部は筆者のようないち個人にも、フリーランスになった瞬間からありがたかったことに資料送付の配慮をしてくださり、だからこそ、まさにトラックの「ダイナ」やマイクロバスの「コースター」、救急車までも、新型車が出ればその都度くまなくカタログが手に入り今も手元にある。で、冒頭の2代目センチュリーのカタログに関しては、1997年4月の登場時のものから、すべてではないようだが手元に8冊ほど残してあり、試しにまとめてその重量を計ったところ4.5kgあった。昭和の頃に日本の家庭の応接間で「調度品」の定番のひとつだった百科事典1、2冊分といったところか。
2代目センチュリーも20年にわたるロングセラーだった
ちなみにセンチュリーのカタログは中身の分量の文字のQ数(ポイント、文字の大きさ)が大きめで行間もスッキリと開けてある。もちろんそれは、想定されるユーザー(というより後席に座るオーナー)の年齢層を想定してのことで「5年乗ったから、また新しいセンチュリーに入れ替えようか」と話がスムーズに進むようにとの配慮なのは言うまでもない。「セルシオ」や、書体に明朝からゴシック体を使うようになったレクサス「LS」のカタログも同様だ。
ところで2代目トヨタ センチュリーは30年続いた初代のあとを受けての登場だったが、この2代目もまた、1997年の登場から2017年まで、ほぼ20年と長く現役を貫いた。初代に比べれば10年短いとはいえ、昔の人がよく言うのを聞いた喩えの「生まれた子が成人になる」を地で行くようなもので、一般的なコンシューマー向けの乗用車とは、やはりそのあたりの感覚には違いがある。
デザインは初代からの超キープコンセプト
さて2代目センチュリーだが、まずスタイリングに関しては超キープコンセプトというべきものだった。カタログの文面の中に「ひと目でセンチュリーと分かる造形」というのがあるが、このフレーズをもじるなら「ひと目では新型センチュリーとは分からないほどの造形」といったところ。とくに初代フェイスリフト後の、フロントグリルがやや角張ったモデルと比べると、パッと見た限り本当に新旧センチュリーは似ていた。
ボディサイズは全長5270mm×全幅1890mm×全高1475mmと初代に対して150mm長く、全高は25~45mm高められ、ホイールベースは一気に165mm長い3025mmとされた。とはいえ水平基調のアンダーボディ、クロームのサイドシル、優雅な太めのCピラーや、わずかに幅広のアルミのドアサッシ、テールランプなど、由緒正しいセンチュリーの姿は、フォルムからディテールに至るまで、しっかりとこの2代目にも受け継がれたのだった。
初代と同じ鳳凰マークも、30年前の初代と同じ工匠による手彫りの金型で作られていた。ボディカラーに鸞鳳(らんぽう)、神威(かむい)、醍醐(だいご)、摩周(ましゅう)、瑞雲(ずいうん)といった和名がつけられていたのは初代と同様である。