センチュリーの後席は「上座」
室内は近代化しつつも、初代以上に贅を尽くしたしつらえがなされていた。木目部分が揃うように切り出して使ったインパネの木目パネルほか、本革シート、コンソールなどは革を縫う針や糸、縫い目のピッチにもこだわっている。プッシュオープン式装備の開く動きや音、各装備の動きのバランス、手に振れる部分の感触やパッドの硬さといった細部に至るまでも、入念に仕上げられていた。
シートに関しては本革のほかにジャガード織りウールファブリックを表皮に使用。毛足の調整、伸縮性に富んだ横糸の採用をはじめ、表層パッドにポリエステル綿を使用し、沈み込みなくやわらかな座り心地を実現。シートクッションのフレームスプリングにはスタビライザーを追加し圧倒的安定性を確保するなどしていた。
センチュリーの後席は「上座」と捉え、後席には160mmのスライド機構(50mm以上前方にスライドさせると連動して高くなる機能も)や、後退するドア連動オートリターン機能が「降車の際、乗車の際はまさしく椅子を引いてさしあげることを可能にして」(カタログより)いた。
V12エンジンは片側だけでも運転可能だった
一方でメカニズム面では、国産乗用車初の新開発5L(4996cc)・V12気筒エンジンが搭載された。型式1GZ-FE型と呼ばれるこのエンジンはDOHC 48バルブVVT-iで、280ps/48.0kgmの性能を発揮する。
「パレードのような低速走行時にもなめらかな回転を確保し」といった表現でカタログでも紹介されているが、片バンクごとに独立させてエアクリーナー、サージタンク等の吸気系、電子スロットルや各センサー類、EFIコンピューターなどを配置。万一の場合も片側の6気筒での運転を可能(燃料ポンプも2個備え切り換えて使用可能可能)とした2重系フェイルセーフシステムも採用していた。
サスペンションも近代的な電子制御スカイフックエアサスペンションを採用。200~500Hzの低・中周波のロードノイズを中心に、ノイズやバイブレーションを抑え込むことで静粛性を高めるなど、こだわり抜いた設計もなされていた。
この2代目も2017年2月に販売が終了となるまでほぼ20年と続き、その後、1年4カ月の間を空けて、2018年6月に現行モデルの3代目の登場となった。