初代トゥデイ
TV-CMには屈託のない笑顔がじつにチャーミングだった今井美樹が登場、歌は「はぐれそうな天使」(岡村孝子のほか、歌の作者の来生たかおバージョンもあった)、コピーは「青山育ちのハンサムです」。要するに、軽自動車の殻を破ったかのようなお洒落で洗練されたイメージをアピールして登場したのがこの初代トゥデイだった。
これまで原稿にはワンモーションフォルムと書いてきたが、今回改めてカタログに当たると、「ペンタストリーム・シェイプ」とオリジナルの呼び名があったことを発見した次第である。1315mmとスポーツクーペ並の低全高ながら2330mmのホイールベースをとり、フロントのフロアを低くしたバスタブ型として居住スペースを確保。さらに平面視では運転席を中央寄りとし、ドライバーのスペースを広くとる工夫も盛り込まれていた。
ヘッドレストをワンアームで支えたシートのデザインも斬新。清々しくシンプルなインパネ、ダブルリンク式のワンアームワイパーなど、ディテールにも抜かりがなく、軽自動車ながらセンスのよさが光るクルマだった。
2代目シティ
そして2代目シティ。トールボーイで一斉を風靡した初代から一転、カタログをめくるとすべての見開きの見出しに「才能」のキーワードを盛り込み、初代に対しシティの世界観を一新したモデルだった。とくにワイドトレッドの低く構えたクラウチングフォルムは、前作を否定したホンダらしいクルマとも言われた。
もしも間違っていたらご容赦いただきたいが、この2代目シティは同じホンダのフラッグシップとして登場した初代「レジェンド」と同じ開発責任者が手がけたクルマだった。1.2Lの1カム・16バルブエンジン、油圧反力感知方式パワーステアリングなど意欲的なエンジニアリングを投入。地味ながら大人びたセンスにあふれるコンパクトカーだった。