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「スポコン」ってなに? 米国西海岸発祥の中古日本車のカスタムが逆輸入して進化したスタイルでした! その歴史を紐解きます

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TEXT: 塩見 誠(SHIOMI Makoto)  PHOTO: AMW編集部

日本に逆輸入されたアメリカ発祥のスポコン

そういった事情から、アメリカなのにFF車を中心にドレスアップというよりはチューニング、日本ではニトロと呼ばれるナイトロオキサイドを使ったパワーアップや、フルバケットシートの装着、車高のローダウン、リアワイパーレスやドアノブ、ナンバープレートポケットなどを埋めてしまうといったスムージングなどがおこなわれるようになっていった。これがスポーツコンパクトと呼ばれるジャンルの成り立ちである。

そのスポーツコンパクトが日本へと入ってきたのが、1990年代前半から中盤にかけてだった。といっても、そのままのスタイルが受け入れられたわけではなく、ネオン管やメッキパーツを多用する、ハイテックスタイルなども入り交じった、独特なスタイルが主流となっていった。なぜなら、すでに日本ではNAエンジンのメカチューンや過給器チューニングなどが、あたり前におこなわれていたからだ。

そうしたハードチューンとの違いを表すため、スポーツコンパクトは日本で独自の進化をしていく。そこには、ハイワッテージのアンプを中心としたオーディオカスタムなども含まれているのだが、より大きな違いとなっていたのが、カスタムするオーディオやホイールを、アメリカンブランドの製品で統一するというものだった。また、アメリカ仕様の純正部品、いわゆるUSDM(United States Domestic Market)的なパーツへの交換も、たんなるチューニングとは違う人気の手法となっていた。

USDMからJDM仕様へ。多様なチューニングに進化していった

逆にそのころのアメリカでは、アメリカで販売されている日本車に、日本仕様のパーツを装着するJDM(Japan Domestic Market)仕様が流行っていた。つまりは無い物ねだり、ということなのかもしれない。

このJDMは現在でも人気が高く、なんでも点検ステッカーとか車検ステッカー、保管場所標章なんかも日本のものだということで流通しているらしい。

そうやって認知度が高まってきたスポーツコンパクトなのだが、徐々に他人との違いを見せるためにホットロッドやローライダーの風味も混ざるようになってきた。チューニングをしたりシフトタイミングライト付きのタコメーターを装備するなどといったメニューに加えて、ボディ色をキャンディカラーとしたり、バイナルを入れたりするというのが一般化してきたのだ。

チューニングも機能の向上だけではなく、エンジンのヘッドカバーやサクションパイプのメッキ化、エンジンルームのライトアップなどをすることで、見た目も美しくという手法が一般化。いまではネジ式車高調整式サスペンションでのローダウンではなく、油圧や空気圧を使った車高調整式サスペンションをセットするというのもスポーツコンパクトの一手法として認知されている。

日本独自のスポコン文化

こうやって仕上げたクルマを西海岸の人に見せると、このやりかたはチカーノだね、とか、ホワイトだね、みたいにいわれるはず。つまり日本のスポーツコンパクトはすでに独自のものとなっているわけで、スポコンという日本でしか通用しない略称も、そうこれはスポーツコンパクトではなくスポコンなんだ、といえるものとなっている。海外から入ってきたものを魔改造するのは、日本人お得意、食べ物などではあたり前となっている手法。それと同じことがこのスポーツコンパクト、スポコンにも当てはまるのだ。

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  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 1965年生まれ。学生時代からオートバイとクルマに熱中し、自動車雑誌編集ののちフリーランスライターに。これまでAE86トレノ、CC72Vアルトワークス、E38AギャランVR-4RS、1980年式シロッコ、CD9Aランサー・エボリューション、プジョー306スタイルなど、クルマを乗り継ぐ。オートバイはCB250RS、RZ250、ZZ-R1100、T-MAXなどつねに複数台所有。現在の愛車はフタ桁ナンバーのアルファ ロメオ156V6とサーキット遊び用のNCP91ヴィッツRS・TRDターボM、JA45クロスカブ。
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