C5ツアラーにロードバイクを高々と積んでイベント参加
シトロエン乗りって、やはり変わった人が多いのか? そんな都市伝説を検証するために2023年9月17日(日)、飛騨・高山で行われた「シトロエニスト ランデブー オーナーズ フェスティバル2023」で、オーナーたちの生態に迫ってみる迫真ルポ。第2回は三重県からロードバイクをルーフに高々と積んで目立っていた2008年式「C5ツアラー」のオーナーにご登場願おう。
寮の荷物を運ぶため、最初のC5ツアラーをメルカリで購入
南仏やピレネーの峠道は、なにもラリーストや走り屋だけが走っているわけではなく、ストック突き突き坂をゆっくり上がっていくトレッキング客もいれば、豪速ダウンヒルで時にはクルマを抜いていくロードレーサーもいる。そんな現地の空気感そのままに、高山の駐車場に現れたC5ツアラーが、やけに若いオーナーで驚かされた。
聞けばまだ免許を取って半年、たしかに初心者マークもちゃんと付けている……。しかも話を聞けば、他にも2台のシトロエン、「C6」と初代「DS3」を所有しているというから、さらに驚いた。クルマの主は、大仲真三人さん、18歳。来春に卒業を控えた高専生で、今はインターンにいそしんでいるという。
「早く働きたいですね、クルマを維持したいですから」
それにしても18歳でシトロエン×3台体制とは、世のコンセンサスからすればあまり尋常ではないと思うが、なぜそんなことに?「話せば長いけどいいですか?」と断ってから、大仲さんは話し始めた。
「もともと、父が308型のジャガーXJとかリンカーン タウンカーに乗っていたりして、クルマ好きではあったんです。あと歳の離れた双子の兄がいて、片方が初代トゥインゴにハマってて6台持ち、もう片方は996カレラとマセラティ ギブリ(II)持ち。クルマ趣味がないのは母だけですね。高専って寮生活で、兄も行ってたんですけど基本、1回入寮したら荷物って出さなくていいはずなんです。
ところがコロナで春休みとか夏休みが来るごとに、引っ越しみたいにその都度、部屋から荷物を出さなきゃいけなくなって。でもその頃、父はメルセデスのSL(R129)に乗っていましたから、ウチには荷物を積めるクルマがなかったんです。それで入学の翌年、ぼくがメルカリで2LのC5ツアラーの4ATを25万円で見つけて、父も“まぁそのうち要るもんだし”、ということで父に借金してぼくのクルマとして買いました」
やっと免許を取得して半年、ハンドルを握り走りまくる
5年制だから学校生活の後半あたりからクルマの運転をするという、高専生の暮らしっぷりも新鮮だが、家庭環境もやはりなかなかのご様子。豪邸ではないと謙遜はするが置けることは置けるという実家だそうで、配達の人にはしょっちゅう「クルマ屋さんなんですか?」と尋ねられるのだとか。ちなみにお兄さんは船乗りになって「2CV」を増車し、「帰って来た時はクルマに乗ってばかりいて家に居つかない」のだそう。
そんな家族の思い出は、お兄さんのトゥインゴと当時ファミリーカーとして家にあった初代シトロエン「C3」で、全員でフレンチブルーミーティングに出かけていたことだった。
「たしか10歳ぐらいの頃から毎年行っていて、自分で乗るなら何となくシトロエンだな、と。ハイドロにはずっと興味あったんです。C6は就職したら手に入れようと思っていたんですが、先にメルカリ癖がついちゃって、自分でも免許取って半年で3台はやり過ぎたとは思っています……」
無論、最初にこのC5ツアラーが家に来た頃は免許もなく、父と兄ばかりが運転しているのを横目で見ていた。ちなみに免許を取る以前は、積み荷のロードバイク×2台が愛車だったそうで、漫画『弱虫ペダル』モデル仕様のルックのフレームなのだとか。
「ここ半年で免許を取ってやっと乗れた、という感じです。やはり乗せてもらっていた時とステアリングを握るのとでは全然、揺らぎの受け止め方というか自分で創り出している分、感覚も違います。2年前に走行6.9万kmで購入して、今10.6万kmぐらい走っています。遠出は、九州の人吉市まで行きましたよ。高速道路で頑張れば燃費も15km/Lぐらいいきます。街乗りでは10km/Lぐらいですけど。うちは東名阪のインターが近くてストップ&ゴーの少ない環境なので、そこは恵まれていますね」
初めてのハイドロ車で、乗り心地以外にも気に入ったところが多々あるという。
「(トランスミッションの)AL4はあまり評判よくないですけど、下り坂でちゃんとシフトダウンしてくれるし、かなり賢いですよ。ハーフレザーシートの適度な柔らかさとホールド感もいいし、世界観としてやはり前期の方が気に入っています。後期フェイズの1.6Lだとファブリックシートで、テールゲートもパワーゲート仕様じゃなくなりますから」