レース後に勝者が変わる波乱の結果に
2023年9月17日、スポーツランドSUGOでスーパーGT第6戦の決勝レースが行われ、GT500クラスは8号車ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)、GT300クラスは52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が優勝した。
シリーズ終盤戦に向けた大事な1戦
シリーズ第7戦のオートポリスではサクセスウエイトが半減、そして最終戦もてぎは全車追加ウエイトなしのレースとなるため、今回のSUGO戦はサクセスウエイトが通常通り加算される最後のレースとなる。ウエイトの軽いランキング下位のチームにとっては、ここで大量得点してタイトル争いに望みを繋げるチャンスだ。
天候はレースウィークを通してスッキリしないものとなっているが、おおむねドライコンディションで進行。13時30分スタートの決勝レースでも、上空は厚い雲に覆われた。グリッドレベルではごく弱い小雨が確認できたものの、本格的に降り出すことはなくドライ路面でレースがスタートした。周回数は84周、気温は28℃、路面温度は33℃だ。
大クラッシュ発生で長時間の赤旗中断に
今回から全車が2基目のエンジンに突入したGT500クラス。ポールポジションは8号車ARTA MUGEN NSX-GTで、23号車MOTUL AUTECH Z、17号車Astemo NSX-GTがそれに続いた。ポイントリーダーでサクセスウエイト98kgの3号車Niterra MOTUL Zは8番グリッドからのスタートとなった。
ポールの8号車を駆る野尻智紀は、序盤の10周で2番手以下に6秒のギャップを築くと、GT300のトラフィックを処理しながらトップを快走した。一方で前戦ウイナーの僚友16号車ARTA MUGEN NSX-GTは13番手からの追い上げを目指したが、トラブル発生なのか4周でルーティン外のピットイン。コース復帰は果たしたものの、早々にラップダウンとなってしまった。
レース距離3分の1である28周を消化し、ドライバー交代が可能となるタイミングを迎えると、まず真っ先に入ってきたのが中団の混戦の中で戦っていた100号車STANLEY NSX-GTと19号車WedsSport ADVAN GR Supra。その後も各車が続々とルーティンのピットストップを消化した。
トップを走る8号車ARTAは、後続に十分なマージンを保ったまま、32周を終えてピットイン。野尻から大湯都史樹にバトンタッチし、先に入っていた23号車NISMOの前でコースに復帰した。しかし、その次の周にピットインした17号車Astemoは素早い作業でコースに戻り、8号車の前に立って事実上のトップに浮上した。
そんな中で39周目に大きなクラッシュが発生。100号車STANLEYの山本のマシンがホームストレート上で大破しており、レースはセーフティカー出動となり、ほどなくして赤旗中断となった。どうやらGT300クラスの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rと接触があったようだ。
山本は意識があり、身体に痛みはあるものの手足は動かせる状態とのことだったが、ドクターヘリで病院に搬送されている。その後、「外傷性環軸椎亜脱臼」および「中新世脊髄損傷」と診断され、今後の第7戦と第8戦の欠場が発表された。
>>>国内外の最新レース情報が満載!「motorsport.com」
残り10周を切った時点でトップ交代に
レースは1時間近く中断された後、45周目に再開となった。この時点でルーティンストップを終えていなかった39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraと1号車MARELLI IMPUL Zがトップ2となっていたため、すでにルーティンストップを終えていた多くの車両がラップダウンの状態で再開を迎える格好となった。上記2台と同一周回にいたのは、実質のトップ争いを繰り広げる8号車ARTA、17号車Astemo、23号車NISMOだった。
17号車Astemoの塚越広大を攻め立てる8号車ARTA大湯は、52周目の1コーナーで17号車をオーバーテイク。全車がルーティンストップを終えていたため、名実ともにトップに返り咲いた。
しかし、8号車ARTAの大湯は17号車Astemoの塚越、23号車NISMOの松田を引き離せない。後ろからプレッシャーをかけ続けられながらも首位をキープする8号車だったが、残り8周となるタイミングのホームストレートでついに首位陥落。17号車がレースリーダーとなった。
17号車はそのまま首位でトップチェッカー。2位は23号車NISMOの猛攻を凌ぎ切った8号車ARTAだった。しかし、レース後の車検で17号車はスキッドブロック厚み規定違反となってしまい、まさかの失格に。これにより8号車が繰り上がりでの優勝となっている。
ポイントランキングは、3号車Niterraの千代勝正、高星明誠が51点で首位をキープ。36号車au TOM’S GR Supraの坪井 翔、宮田莉朋が2点差の49点で2番手、23号車NISMOの松田次生、ロニー・クインタレッリが40点で3番手と、日産とトヨタの2メーカーの争いが激化しており、残り2戦は見逃せない展開だ。
(この記事はmotorsport.comのリポートをもとに加筆修正しています)