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「ウーウー」「ピーポー」「カンカン」だけじゃない! 進化系緊急車両のサイレンの音色とは?【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 写真AC

  • サイレンを鳴らすパトカー

  • 救急車走行
  • サイレンを鳴らすパトカー

最近では変わった音色も増えてきた

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「緊急車両のサイレン」についてです。パトカーや消防車、救急車はそれぞれサイレンがあり、緊急走行時に鳴らしながら走行しています。昔から慣れ親しんだ音色のほかに、最近は違ったサイレンもあるようです。そんなサイレンについて語ります。

環境の変化に合わせてドライバーへ伝わるよう音色も進化

緊急車両が不思議なサイレンを響かせていることに気づいた方もおられようか。その音は「ウーウー」でも「ピーポーピーポー」でもなく、不協和音をともなった不快な音色なのです。

そのサイレンをカタカナで表現するならば、「ギューン、ギューン」であり「ビュー、ビュー」といった感じです。つくづく音を文字に置き換えるのは難しいと思うのですが、ともあれ、最近、消防車や救急車、あるいはパトカーのような緊急車両が発するサイレンの音が、かつての響きと変わって聞こえるのです。

じつは、緊急車両のサイレンにはさまざまな音色が存在しています。パトカーが現場に急行する際は「ウーウー」ですが、4秒周期と8秒周期があるようです。4秒周期は緊急性が高いようですね。たしかに、テンポが速い分だけ、焦っている感覚が強調されます。

救急車は「ピーポーピーポー」が基本です。ピーポくんは警視庁のマスコットであり、救急車が属する消防庁ではないのにピーポくん、何か不思議な感じがしますね。ちなみに、消防庁のイメージキャラクターは「消太」(しょうた)だそうです。あまり積極的にマスコット展開していないようで、まだまだ無名ですが、ピーポーピーポーとサイレンを鳴らすのが消防車でありながらピーポくんは警視庁管轄であり、ウーウーと鳴らしながら現場に急行するのがウーウーくんではないのは興味深いですね。

救急車走行

閑話休題。

その救急車のピーポーにも、音量の強弱があるそうです。夜間や住宅地など、騒音が気になる場所では音量を抑えているそうなのです。さらには救急車にもウーウーがあるそうで、ピーポーピーポーだけでは気がつかれない場合に併用するそうなのです。

消防車は「ウーウー」と「カンカン」ですね。ウーウーは現場に急行する場合に鳴らすのですが、カンカンは消火作業が終わり署に帰還する際に鳴らすものですね。カンカンは想像通り、江戸時代の半鐘に由来しています。火事を発見した火消しが、危険を知らせるために半鐘を鳴らしました。そのイメージを今でも受け継いでいるわけです。

そしてさらに、冒頭で紹介した「ギューン、ギューン」とも「ビュー、ビュー」にも聞こえるサイレンが加わりました。最近のクルマは密閉性が高く、しかも大音量で音楽を聴いているドライバーも少なくないことから、緊急車両のサイレンに気がついてくれないことが増えたそうです。そのため、人間の耳には不快に聞こえる不協和音を響かせることで、存在を意識してもらえるように開発されたそうなのです。

ただサイレンが開発されたのは2014年だといいますから、それからずいぶんと時が経っています。それでもいまだに浸透しているとは言い難いですね。

われわれがもっと緊急車両のサイレンに意識を向ける必要があるのではないかと感じました。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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