山田さんの個展は群馬県の高崎シティギャラリーで開催
最初の個展は2008年に実施。コロナ禍の中止をはさみ、今回が7回目
連日、数多くのギャラリーが山田さんの作品を見て感動した
バルサ材を主体とする木製フェラーリをスクラッチビルドしている
素晴らしい出来映えの水彩画も山田さんの作品のひとつ
インテリア、エンジン、タイヤなどもすべてバルサ材で制作
制作対象はエンツォ・フェラーリが生きていた時代のモデルに限定
開閉ギミックを装備している点が山田さんの作品のスゴイところ
小さなパーツは作りにくいので必然的にビッグスケールになった
各作品がもはや木製とは思えない完成度の高さを誇る
エンジンも各パーツがバルサ材で精巧に作られている
まず資料を集め、設計図を書き、それをもとに制作している
塗装してしまうと木製だと分からなくなるので無塗装の状態を披露
塗装前の工程を見てもらうために無塗装ボディと無塗装エンジンを展示
1年に2台のペースで制作している山田さんは御年79歳
ディーノを買う人が328GTSを手放すタイミングでゲットし、オーナーになった
3月28日生まれなので「328を買ったのも何かの縁」だと感じている
自宅の2階にある工房で木製フェラーリが生み出されている
積層したバルサ材をカッターで削りながら各パーツを作っていく
ステアリングホイールのような細かいパーツ類もリアルに制作
自宅の1階もギャラリーのようになっており、ゲストを感動させる
ミハエル・シューマッハのことも実車のフェラーリと同レベルで注目してきた
365GTB/4は1977年のデイトナ24時間で5位に入賞したレース仕様を再現
166インテルは排気量2L超のV12を積むフェラーリ初のモデル
実車はクーペボディが基本で、カブリオレ仕様が4台製作された
SOHCのV12エンジンも細部に至るまで作り込んでいる
メーターの盤面はカラーコピーやカラープリンターを駆使して制作
よりイイ作品を求め、大好きな250GTOを3台も作ったそうだ
ボディはツヤあり白の水性ペイントを塗り、それを研ぎ出し、缶スプレーで塗装
パイプ類やコードなどにワイヤを使っているが、基本的にはバルサ製
3台目の250GTOなので、マフラーエンドの造りも気合いが入っている
250GT TdFはコンペティションモデルでありながら美しいボディを有している
TdFはツール・ド・フランスのこと。当作品は山田さんの新作だ
アメリカのレースで活躍した1957年式の250TRCを再現
タイヤはバルサ製だがホイールのワイヤにはピアノ線を使っている
シフトゲートまで表現。シートベルトはレザーだが、紙も使うらしい
テスタロッサはイタリア語で赤い頭のことなのでカムカバーはレッドだ
再評価されている250GT ルッソは、エレガントなグランドツアラー。こちらも新作
大きく湾曲したリアウインドウがトランクのラインと重なる優美なフォルムを再現
グループBホモロゲ取得用マシンの288GTOは、ベースとなった308GTBの雰囲気がある
実車の総生産台数は272台で、エクステリアデザインはピニンファリーナが担当
前後フェンダーは大きく張り出し、細部にGTOシリーズ共通のデザインモチーフを持つ
ラジエターなどがあるフロントセクションのディテールもしっかり再現
288GTOならではのインテリアもバルサ材で表現されており、驚くばかり
排気量2.9LのV8 DOHCツインターボエンジンも搭載。プレートも付いている
330P4は幾多のレースで勝利し、1967年のデイトナ24時間レースでは1位から3位を独占(3位はP3/4)
330P3からのコンバートを含め、プロトタイプレーシングカーの330P4は全部で4台生産された
排気量4LのV12エンジンは450hpを発生。スパイダーと高速サーキット用のベルリネッタが存在
365Pは1966年のパリ・サロンでデビューしたコンセプトカーで、ミッドシップモデルの習作だ
運転席がセンターにあり、その左右にパッセンジャーシートを配した3シーターレイアウトを採用
当時フェラーリの市販車はFRが人気だったが、時代の流れでミッドシップを無視できなかったのだ
エンジンはSOHC2バルブのV12で、6基のウェーバー製キャブレターがセットされていた
512BBは365GT4/BBに替わるモデルとして1976年に登場。エンジンの冷却性能などが向上していた
ピニンファリーナ・デザインのボディは、365GT4/BBから512BBへの進化時にディテールを一部変更
929台が生産された512BBは、最大トルクがアップした水平対向12気筒エンジンを縦置きで搭載
知り合いが512BBを所有していて実車取材ができたので車載工具までしっかり再現
512S モデューロは1970年に発表されたコンセプトカー。デザインはピニンファリーナが担当
ルーフ後方に計24個の丸い穴が開けられ、この下に排気量5LのV12エンジンを搭載
ルーフがドアとして機能するキャノピースタイルを採用しており、開閉時は前方にスライドする
実車は右ハンドル仕様で、運転席はシンプルなデザイン。そのあたりのディテールも再現している
ディーノも250GTOと同じように時おり作り直しており、今回は新しく制作した206GTを展示
150台のみ生産されたディーノ 206GTは最初のモデルということもあり、シリーズの中で一番人気だ
バルサ材で作られているが、三角窓まで可動するように制作されており、来場者を驚かせていた
スペアタイヤが積まれたフロントセクションも細部に至るまで作り込まれている
エンジンフードを開けるとミッドに横置きされたティーポ135Bと呼ばれるエンジンが顔を出す
ディーノ 206コンペティツィオーネはピニンファリーナのパオロ・マルティンがデザイン
流麗なボディを持つデザインスタディで、実車はスーパーカーブーム全盛時に日本でも展示された
漫画『サーキットの狼』に登場したディーノ レーシング スペシャル(ヤタベRS)の元ネタだ
美しいスタイリングを誇るディーノ ベルリネッタスペチアーレも山田さんの新作のひとつ
2人乗りショートホイールベースクーペの原案なので、そのカタチがディーノ 206GTに受け継がれた
1965年10月の第52回パリ・モーターショーで披露された実車も右ハンドル仕様だ
F40はフェラーリ創立40周年を記念して造られたスペシャルモデル。山田さんの新作だ
実車は第1級のシャシーを持ち、レーシングカーに肉薄できる圧倒的な動力性能を有していた
そのままレースに出られる市販車、という理念が具現化されているので、前後カウルは大きく開く
V8エンジンは2基のIHI製ターボチャージャーを備えており、山田さんの作品でその細部を確認できる
傘寿を迎えた身である山田さんはエンツォ・フェラーリと同じ90歳まで頑張るそうだ
小さい頃から工作や絵を描くのが得意で、木を削ってソリッドモデルを作ったりしていた