アクティバンの派生モデルだった
ホンダ「ストリート」という車名を聞いて、脳裏にすぐその車両が思い浮かんだ人はなかなかのホンダマニアと言ってもいいかもしれない。ちなみに3列シートのモデルを思い浮かべたアナタは惜しいけれど、それは「ストリーム」であり、全く異なる車両である。
乗用ユースで使用されることを前提に製作されたモデル
ではストリートとはどんな車両だったかというと、1988年5月に登場した軽自動車であり、いわゆる軽ワンボックスバンである「アクティバン」の派生車種となる。
派生車種といってもアクティバンと同じく4ナンバー登録の商用モデルであり、先代アクティバン時代に上級モデルとして追加された「アクティ・ストリート」が単一車種となったというのが実のところだ。
ただ商用登録ではあるもののアクティバンとは異なり、乗用ユースで使用されることを前提としたモデルとなっていた。チルトステアリングやタコメーター、リアヒーターダクトといった乗用車的な装備のほか、当時の軽ワンボックスバンでは珍しくスライドドアガラスを上下に昇降するタイプにしていた。
また上級グレードには直射日光を和らげるブロンズガラスや、フロントに、スライドサンシェード付チルトアップサンルーフを、リアシートの上にはサンシェード付固定式サンルーフを装備したデュアル・サンルーフを設定していたのだった。
近年再び注目を集めている
搭載エンジンは当初3気筒550ccのものをホンダ商用車の伝統でもあるミッドシップに搭載していたが、軽自動車規格改正に伴い、1990年2月に660ccに排気量を拡大したものに置き換えられた。バンパーの大型化などで全長を100mm延長したほか、ボディ同色の大型カラードバンパーを備える最上級グレード「EX」を追加した。
1993年10月には電子制御燃料噴射装置であるPGM-FIを搭載したグレードを新設し、リアデフロックを備えた4WDやガードパイプ類、ラゲッジフックの増設などをしたアウトドアレジャーユースを想定した「FOX」というグレードが新設されている。
このように改良を繰り返しながらアクティバンとともに販売されてきたストリートだったが、1999年6月にフルモデルチェンジを果たしたアクティをベースとした「バモス」が登場したことで役目を終え、終売となった。
結局、ストリートとしては1世代のみで終わってしまった同車ではあるが、1980~1990年代のホンダ車が持つ独特の雰囲気を纏った車種のひとつとして近年再び注目を集めており、中古車の価格も上昇中となっているようだ。