それぞれのドライバーがしっかりまわりを確認
ほかにも追いついてきたから車線を譲ってほしい、という意志を表す右ウインカー点灯や、車間を開けるから車線変更してきていいよという意志を表すヘッドライト消灯など、トラック業界では外から見てわかる意志の表明方法が数多く使われている。右折させてもらったときの、ごく短いホーン発報もありがとうの意思表示だ。しかしこれらも、厳密にいえば法令違反行為となる。なんだか堅苦しい話でいやになってしまう。
ただ、ありがとうという意思を伝えたい場合には、ほかにも方法がないわけではない。たとえば右折を先にさせてもらったときには、手のひらを大きく前に、フロントガラス寸前まで出して挙げると、対向車からは見えやすい。進路変更で譲ってもらったときには、サイドウインドウを開けて外に手を出して挙げる、というのもありだろう。しかしこれらの方法も、状況次第ではできないことだってある。あれも法令違反これも法令違反、などと硬く考えず、ちょっとした気遣いをみんなができれば円滑な交通状況となるんじゃないのかなぁ、と思う。
ちなみに、サーキットでおこなわれているレースでは、速いクルマが追いついてきたとき、避ける方向にウインカーを出して進路を譲る、ということがおこなわれている。昔は抜いてほしい方のウインカーを出していたが、現在は避ける方向のウインカーを出す、ということで統一されている。こうすることで速いクルマは遅いクルマを安全に抜くことができるわけだ。
また、前走車に避けてほしいという意思表示としてパッシングも多用されている。速さの違うマシンが混走しているスーパーGTやスーパー耐久を見ていると、ドライバーの姿は見えなくてもこういった意思表示やクルマの動きの判断によって、おたがい安全に走行をしている。そこにあるのは、それぞれのドライバーがしっかりまわりを確認してる、という信頼感。
もちろん一般道では、相手を疑ってかかることが安全に繋がるので同じようなわけにはいかないし、高速道路の上り坂で減速しちゃったり、ドアミラーを見もせずに車線変更してくるような人、追い越し車線をずーっと走っているような人のことを、信用できるわけがない。いろいろなメディアで取り上げられたことから、ハイビームが基本なんだと思い込み、前にクルマがいようが対向車がいようがロービームにしないような人は、他人を気遣うことができないわけで、逆の意味で危険な存在であることを知らせてくれていると思い、一刻もはやく離れてしまう、というのが吉だ。