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創刊と同時に導入し29年45万キロ走破!「R32VスペII」号はGT-Rマガジン編集部の象徴です

R32のリヤ

存在感あるR32GT-Rのリアビュー

29年間Gマガとともに歩んできた

1994年10月、「GT-Rマガジン」創刊1カ月前に納車されたスタッフカーの日産R32「スカイラインGT-R VスペックII」(通称R32VスペII号)。翌年1月には次期型R33 GT‒Rが発売される直前のタイミングで、初代の杉野勝秀編集長があえて新車のR32を導入した。以降、本誌の顔として45万kmの走行を刻み、現在も順調に距離を延ばし続けている。

雪国であらためて知った偉大さ

最古参だけに、これまで車両を担当してきたスタッフの数も最多で、本誌を初めて経験する編集部員がその任に着くことが多かった。本誌の歴史とGT‒Rの魅力、維持管理するための心構えを学ぶのに適しているという理由からだ。

2009年12月、年末年始にかけて自走で極寒の北海道までロケに行ったことがある。エンジン/シャシー/ボディと徹底的なフルレストアを実施してからまだ1万km程度しか走行していない頃で、どちらかというと「温存」されていた時期だった。

なのに「雪国へ行くとは何事か!」という読者の方からのお叱りの声も頂戴した。たしかに、ピカピカに生まれ変わったVスペII号を雪や泥、融雪剤まみれにしてしまうことへの抵抗はあった。しかし、第2世代GT‒R最大の武器であるアテーサE‒TSの威力と操る楽しさを味わうには雪道を走るしかない、とリスクを承知の上で敢行したのだ。

企画後すぐスタッドレスタイヤを手配し、下まわりの錆と汚れを防ぐためボディコーティング「ワンラップコート」を施工。東北道をひたすら北上して青森まで移動し、フェリーで函館へ。アイスバーンと豪雪にビクつきながらも、雪道に慣れるにつれてVスペII号の素晴らしい操縦性に魅了されていった。

リアタイヤが滑ってからトランスファーを介してフロントタイヤも駆動。電子制御技術が進んだ現代ではもっと緻密なコントロールが可能となっているが、1989年に日産はこんなにすごい技術を量産車に採用したのかと、あらためてGT‒Rというクルマのすごさを思い知らされた。

カセットデッキの純正オーディオにこだわり続けて29年

内外装ともにほぼノーマルで、スタッフカーでは唯一カーナビ非装着。一時はビルトインタイプのナビ付きAVを装着するという案もあったが、部内では反対意見が多く却下。カセット付きの純正オーディオのまま現在に至っている。今はスマホの地図アプリがカーナビとして十分機能するようになったため、オリジナルを維持して良かったと感じる。

創刊当時は新車だったVスペII号も、2023年で登録から29年。もちろん、いろいろとトラブルに見舞われることもあるが、動けなくなったのはプラグの被りやバッテリー上がりでエンジンが始動ができなくなった程度。幸い重大なトラブルに見舞われたことはない。地球から月までの距離にプラス6万km以上も走行しているが、今でも遠方の取材地だって積極的に自走で赴く。ラジオしか聞けないし、正直、オーディオの音もショボイ。しかし、長時間運転することが苦にならないどころか、なんとも心地良いのだ。

歴代の運行日誌担当者が手厚くケアしてきてくれたことに感謝しつつ、これからも本誌とともに歩んで行くつもりだ。なぜならGマガの象徴でもあり、決して欠くことのできない存在だから。ちなみに、しばらく動かしていないとなんとなく機嫌が悪い感じがする。そんな時はしばらく走らせるとすこぶる快調に。そんな人間臭さがあるのも、本誌VスペII号の愛すべき点である。

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