新開発の3.5リッターV6が伸びやかな出力を提供
実車は4310mmの全長に対して2650mmのロングホイールベースを採用。さらに前後異サイズの当時としてはクラス最大径のスポーツタイヤ(銘柄はブリヂストン RE040)を組み合わせ、ワイドトレッド、前後タイヤ間センター付近への乗員配置といった構成で、前軸:後軸重量配分=53%:47%を実現。こうしたことで、高速走行、コーナリング中、加速またはブレーキングでも荷重変化が最小限なパッケージとし、4輪荷重コントロールによって姿勢(目線)の安定化とタイヤグリップ力を最大化する効果を生み出した、としていた。サスペンションは前後とも鍛造アルミパーツを採用したマルチリンク式とし、プロペラシャフトはカーボンFRPとしていた。
一方でエンジンは新開発の3.5LのV6、VQ35DE型を搭載。これはスカイライン350GT-8のVQ35DE型をベースに改良が加えられたもので、とくにZ33型用として吸排気径の高効率化をはじめ、低回転域から力強いトルクを発生させると同時に高回転での伸びを向上させるなどしたもの。スポーティな走りと街中でも扱いやすいトルク特性を発揮するユニットとしていた。
組み合わせるトランスミッションは、クロスギヤレシオ、ショートストロークの6速MT、または完全ギヤ固定式マニュアルモード付きの5速ATが用意された。
電動ソフトトップのロードスターも登場
なおクーペが日本市場に投入された翌年の2003年10月には、同年7月に北米市場にひと足早く投入されたロードスターが発売となった。このロードスターには世界初だったワンレバー3ロック式の電動開閉機構を採用。およそ20秒で簡単に開閉ができ、クローズ時の高い気密性と静粛性も確保。オープン時はストレージリッドと呼ばれるカバーの下にソフトトップが完全に格納される設計となっていた。カタログに改めて目を通し直すと、
「その昔、そよ風という言葉はラテン語を話す詩人に空や天、香りまでも表す言葉として使われていたという」
などと、どちらのコピーライターの考案だったのか、なんともロマンティックなフレーズがあるのを、およそ20年を経た今にして見つけた次第だ。