欧州でも流行しているレトロ風「顔面変更」ボディキット
日本でも各地でよく見かけるのがレトロな移動販売車。フォルクスワーゲン「タイプ2」(通称ワーゲンバス)やシトロエン「タイプH」といったクラシックな実車から、現代のクルマをそれらクラシック商用車風にカスタムしたものまで、多彩な個体が活躍している。欧州では2022年の秋、イタリアのカロッツェリア・カゼラーニ社が現行シトロエン車をクラシックにコンバージョンするキットをリリースし、なんとシトロエン本社が公認ライセンシーを与えて話題となった。そんなカゼラーニ製ボディキットをまとった最新ワンボックスバンが2023年10月1日から日本でも発売。手がけるのはツウな欧州車の輸入販売で知られる「ルパルナス」だ。
イタリア・カゼラーニ社のボディキットをシトロエン本社が公認
ハイテク感みなぎるデザインのクルマがあふれる今日の社会で、あか抜けないけど不思議となごむレトロカーのデザインは、乗用車のみならず、顧客からの「親しみやすさ」が求められる商用車の世界でも少なからぬニーズがある。VWがEV戦略の中核に据えている「ID.Buzz」が往年のワーゲンバスをモチーフとしているのもそのためだし、新興EVメーカー各社でもノスタルジックなデザインのモデルを続々と投入している。
ちょうど1年前にイタリアのカゼラーニ社が発表したボディキットは、現行シトロエン車をレトロ化するハイクオリティな逸品で、「ベルランゴ」を「2CVフルゴネット」化するものから、「スペースツアラー」の「タイプHG」化キット、そして大きなものでは「ジャンパー」を「タイプH」とするキットまでラインナップ。フランスのシトロエン本社が公認したこともあって欧州のアウトドアユーザーから事業者に至るまで大きな話題を呼んだ。
2023年8月にはシトロエン本体でも同キットを採用したキャンピングカー仕様「タイプ・ホリデイズ」をお披露目し、欧州のシトロエン・ネットワークで販売していくと発表したのも記憶に新しいところだ。
日本でのベース車両はフィアット デュカト
今回、ルパルナスはカゼラーニ社の正規輸入代理店として、この「タイプH」を日本国内で発売。ベース車両は欧州ではシトロエン ジャンパーのところ、昨年末から国内正規販売もスタートした兄弟車(バッジ以外ほぼ同じ)、フィアット「デュカト」の日本仕様を用いるとのこと。カゼラーニのFRP製ボディキットを輸入して、デュカト、あるいは要望に応じて兄弟モデルをベースに、国内の工場で架装して製作するという流れだ。
フィアット デュカトについては先日AMW編集部のリレーインプレ企画で検証したとおり、先進の安全支援装置や長距離での走りやすさ、快適性、使い勝手など、現代の「はたらくクルマ」として申し分ない優等生。ボディサイズはL2H2ベースの場合で全長5443mm×全幅2080mm×全高2524mmとなるが、バックカメラやサイドビューカメラの支援も受けることができるので高さにさえ慣れれば運転に不安はない。