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マツダ「ロータリーエンジン」が11年ぶりに復活! メリットとデメリットを5分で解説します

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TEXT: 塩見 誠(SHIOMI Makoto)  PHOTO: マツダ

低回転でトルクが薄くなってしまう

まず大きな短所は、回転するローターの動きを利用して吸気をおこなうため、低回転時では吸気効率が悪く、そのぶん低回転でのトルクが薄くなってしまいがち、という点だ。さらに、圧縮した混合気を爆発させた力でローターを回すということは、必然的に燃焼室が移動をする、ということでもあるので、熱効率が悪くなってしまうのだ。燃焼室の形状もローターのカタチに依存するので偏平で表面積が大きく、それも熱効率という部分では弱点となる。これは燃費が悪くなる原因のひとつだ。

また燃焼室が動いていくことから、吸気ポート寄りのほうが燃焼しづらいために、排気ガスがクリーンになりづらい。ローターとハウジングのシール精度と潤滑性を確保するためにどうしてもオイル消費量が多めになる、というのも、排ガスのクリーンさという部分では不利だ。

しかしマツダは、そういった問題をひとつひとつクリアしながら、排ガス規制にも対応したロータリーエンジンをつくり続けてきた。そして今回デビューしたのが「8C-PH型」である。この1ローターエンジンは、発電機用としてつくられていて、駆動用ではない。そのため、もっとも効率のいい一定の回転数で回し続ければいいことから、適切なポート形状や燃料噴射料を設定しやすい。駆動用の場合には、アイドリング回転数から8000rpm以上までを考えなければならないが、発電機を回すだけなら回転数は上下しないほうがいいので、これまではわかっていてもできなかった高効率化を実現しやすいのだ。

軽量コンパクトが活きてくる

そうなってくるとロータリーエンジンが持つ、軽量コンパクト、という部分が活きてくることとなる。「MX-30 ロータリーEV」が発電機とエンジンを同軸上に配置できたのも、そのコンパクトさがあったからだ。ただ、懸念点がないわけではない。まだ試乗できていないのでなんともいえないが、1ローターということから振動は気になる。

ロータリーエンジンは、レシプロエンジンでいうところのクランクがエキセントリックシャフトにあたり、これはクランクシャフトよりも偏心が小さいので振動自体は小さいのだが、それでもまったく振動しないというわけではない。だから駆動用として使っているときには2ローターを基本として振動を打ち消していた。それが今回は1ローター。はたしてその部分はどのように対処をしているのか。

また、発電機を回すためにエンジンを動かしているとき、つまりハイブリッドモード時のWLTCモード燃費は15.6km/Lと、それほどいいわけではない。もちろんEVモードが基本であり、ハイブリッドモードは充電容量が減ったときのみに使用するモードだし、燃料タンク容量も51Lあるので、航続距離はかなり長いのだろうが、実際に使用したときのことはいまはまだわからない。

とはいえ、この時代にあえて新型ロータリーエンジンをつくり、搭載してきたマツダの本気度は評価したいと思う。そしてもし可能であるならば、粗悪な燃料でも動かすことができるというロータリーエンジンのメリットを活かした、カーボンニュートラル燃料対応エンジンを搭載した、ロータリーエンジンで駆動するクルマに乗ってみたい。9000rpmまで滑らかに回っていくあのフィーリングは、レシプロエンジンとはまったく違うもの。そういう感性を持った人間が次第にいなくなっちゃうだろうから、できれば早めにお願いします。

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  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 1965年生まれ。学生時代からオートバイとクルマに熱中し、自動車雑誌編集ののちフリーランスライターに。これまでAE86トレノ、CC72Vアルトワークス、E38AギャランVR-4RS、1980年式シロッコ、CD9Aランサー・エボリューション、プジョー306スタイルなど、クルマを乗り継ぐ。オートバイはCB250RS、RZ250、ZZ-R1100、T-MAXなどつねに複数台所有。現在の愛車はフタ桁ナンバーのアルファ ロメオ156V6とサーキット遊び用のNCP91ヴィッツRS・TRDターボM、JA45クロスカブ。
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