復活を遂げ、極寒の大地を駆ける
最終回を迎える海外のリアルなJEEPライフは、日本ではあまり知られていない「コマンチ」をお届けする。このクルマは、北米でも7年の短命に終わった希少車で、 絶版になってから30年以上経つという。 ここに登場するカナダ在住のオーナーは鉄屑状態からリフレッシュし、 さらにはモディファイまで行なった相棒をシルベスターと名付けたという。その物語をみていこう。
「XJ」の心臓部をスワップ
カナダ・マニトバ州在住のオーナーの名はジャスパー・フローゼ。マニトバ州は「カナダのへそ」といわれ、手付かずの広大な荒野にはホッキョクグマやオオカミなど多くの野生動物が生息する。寒暖差は激しく、冬場はマイナス30℃以下と極寒のエリアでもある。
ジャスパーの愛機は1986年式ジープ「コマンチXLS」。AMC時代だった頃の「チェロキーXJ」をベースに後席以降を荷台にした2ドアピックアップだ。チェロキーと同じモノコックボディだが、後半部はラダーフレームとリーフ式サスペンション構造のため、質実剛健なフォルムはいかにもピックアップらしい。日本ではおそらく皆無に等しい個体だろう。
「コマンチは、以前に購入したオーナーから譲り受けたもの。入手した時は嬉しかったけど、ボディは荒れた状態だし、ほとんどのパーツは取り外されていたり、欠損していたんだよ。イチから手を加える必要があったけど、そのぶんだけやり甲斐はあったね」
とジャスパーは話す。エンジンはV6の2.8Lエンジンから4.0Lに換装。内装や足まわりもXJチェロキーからスワップし、オンボロ状態から復活を遂げてみせた。 現在、ジャスパーのコマンチは主にレジャーの相棒として活躍中。オフロードイベントに参加したり、クルージングしたり、庭にある他のジープを牽引したり、コマンチのポテンシャルをフル活用している。最後にこう語ってくれた。
「2年間かけてここまで仕上げてきたけど、やるべきことはまだまだある。トランスミッションやセンサーの問題もクリアしながらコマンチとともに走り続けていきたい」
ジャスパーとコマンチの物語は、はじまったばかりなのかもしれない。