今回のパラモトライダーは5名が参加
2023年10月2日(月)、神奈川県川崎市にある向ヶ丘自動車学校の休校日にて、29回目のパラモトライダー体験走行会が開催された。今回のパラモトライダーは5名だったが、そのうちの3名は初参加で、うち1名はバイク自体に自ら乗ったことがないというバイク未経験者。そして、その障がいも、脊椎損傷の下半身麻痺、脳性麻痺が原因の下半身不随、網膜色素変性症による後天的な視覚障害などさまざまであった。
体験走行会では転倒に備え、レーシングスーツを着用していたが、今回から、それをプロテクターに変更した。レーシングスーツは重く、参加者によっては脱ぎ着についてもたやすいことではない。また着用できたとしてもパラモトライダーの身体負荷が大きいということもあった。
もちろん、サーキット走行などの速度域が高い走行会では着用をするが、今回のようなステップアップ練習会では、それに代わるプロテクターを装備することで、ライダーの負担を和らげながら、安全にも配慮することとなった。
今回は基礎練習ということで、教習所のコースの直線部分を使って、まっすぐ走行する練習を行っていく。ところがこれがなかなか難しい。体幹がなかったり、障がいの影響で力が入らなかったり、逆に入りすぎたり、とそれぞれだが、まずはまっすぐ走ることをマスターすることに各参加者が集中する。それを支えるのがボランティアスタッフ。今回は40名ほどが参加したが、グループ分けを行い、各参加者のサポートを行っていく。
バイクに乗るのだ!
初参加のライダーはみな緊張しているようだが、バイクにまたがった瞬間に、顔をほころばせる。その笑顔を見て周りのボランティアスタッフも自然と笑顔になっていく。ライダーがヘルメットの中でしゃべる声はインカムを通じて外部のスピーカーで参加スタッフ全員が聞けるようになっているが、笑い声しか聞こえないライダーもいれば、自分がうまくバイクを操ることができない苛立ちを吐露するライダーもいて、それぞれの思いがついつい口に出てしまう。
そして、多くがライダーでもあるボランティアスタッフたちは、これに共感しながらサポートを行っていく。バイクという楽しい乗り物を知っているからこそ、走行を終えてバイクを降りた参加者に掛ける声もうれしかったりもする。そんな幸せに満ちた空間が今回も垣間見ることができた。
パラモトライダー体験走行会は、次回、箱根に続いて、神奈川県相模原市の協力を得て、宮ケ瀬湖北岸道路でのツーリング企画となる(参加するパラモトライダーは認定を受けたライダーに限定される)。見学は自由だ。また通常のパラモトライダー体験走行会は、2023年11月12日(日)に熊本のHSR九州で開催される予定である。