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向ヶ丘自動車学校で「サイドスタンドプロジェクト」のパラモトライダー体験走行会が開催! 参加者全員が笑顔の1日でした

それぞれの障がいに合わせてバイクをカスタマイズするSSP。今回も右半身麻痺の山辺さんの状態に合わせ、その場で調整をしていく

見学は自由にできる

一般社団法人SSP(サイドスタンドプロジェクト)は、生まれつきの障がいはもちろん、事故や病気によって身体の自由が利かなくなってしまった方に、バイクに乗ってもらい、まずはあきらめないこと、障がいを負ってもバイクに乗れることを実際に体感すること、そしてバイクの楽しさを広く体験してもらいたい「パラモトライダー体験走行会」を定期的に開催している。このSSPは、レジェンドライダーとして知られる『青木三兄弟』の三男であり、WGP(GP125クラス)で2度の世界チャンピオンを獲得し、現在はオートレーサーとして活躍している青木治親選手が理事を務める一般社団法人である。

関わった全員が笑顔に

脊椎損傷による下半身不随の障がいを負った元ライダーを対象に、2020年に第一回目を開催したこのパラモトライダー体験走行会は、すでに開催4年目を迎えた。パラモトライダーに参加する障がい者は、事故による下肢機能不全にとどまらず、先天性・後天性問わず様々な障がいをもった参加者を受け入れ、ここで誕生したパラモトライダーはのべ130名にもなる。

左足で操作するシフトチェンジを、アクチュエーターを使用して手元のボタンで操作するハンドシフトユニットによって、下肢の自由が利かないライダーでもバイクを操作できるように改造したバイクを用意。不安定になる低速での発進や停止をボランティアスタッフが支えるという仕組みで当初は体験走行会を開催してきたが、参加者に合わせて転倒防止のアウトリガーを何種類も用意したり、スタッフとのコミュニケーションをとれるようヘルメットにインカム組み込んだりしてその走行会も内容を進化させてきている。

免許のない、もしくは2輪の免許を失効することとなってしまったパラモトライダーのために、その体験会会場は、基本的にクローズドのコースとなる。今回の会場は向ヶ丘自動車学校だったが、こういった自動車免許取得のための自動車学校を活用したり、ミニサーキット、さらには広い駐車場などを使用したりして、基本的なバイクの操作から練習をしていく。

また、クローズドコースでの体験走行だけでなく、ステップアップしたパラモトライダーと一般ライダーが一緒に公道をツーリングする企画「やるぜ!箱根ターンパイク」も2年連続で開催するなど、積極的な活動を展開している。

今回のパラモトライダーは5名が参加

2023年10月2日(月)、神奈川県川崎市にある向ヶ丘自動車学校の休校日にて、29回目のパラモトライダー体験走行会が開催された。今回のパラモトライダーは5名だったが、そのうちの3名は初参加で、うち1名はバイク自体に自ら乗ったことがないというバイク未経験者。そして、その障がいも、脊椎損傷の下半身麻痺、脳性麻痺が原因の下半身不随、網膜色素変性症による後天的な視覚障害などさまざまであった。

体験走行会では転倒に備え、レーシングスーツを着用していたが、今回から、それをプロテクターに変更した。レーシングスーツは重く、参加者によっては脱ぎ着についてもたやすいことではない。また着用できたとしてもパラモトライダーの身体負荷が大きいということもあった。

もちろん、サーキット走行などの速度域が高い走行会では着用をするが、今回のようなステップアップ練習会では、それに代わるプロテクターを装備することで、ライダーの負担を和らげながら、安全にも配慮することとなった。

今回は基礎練習ということで、教習所のコースの直線部分を使って、まっすぐ走行する練習を行っていく。ところがこれがなかなか難しい。体幹がなかったり、障がいの影響で力が入らなかったり、逆に入りすぎたり、とそれぞれだが、まずはまっすぐ走ることをマスターすることに各参加者が集中する。それを支えるのがボランティアスタッフ。今回は40名ほどが参加したが、グループ分けを行い、各参加者のサポートを行っていく。

バイクに乗るのだ!

初参加のライダーはみな緊張しているようだが、バイクにまたがった瞬間に、顔をほころばせる。その笑顔を見て周りのボランティアスタッフも自然と笑顔になっていく。ライダーがヘルメットの中でしゃべる声はインカムを通じて外部のスピーカーで参加スタッフ全員が聞けるようになっているが、笑い声しか聞こえないライダーもいれば、自分がうまくバイクを操ることができない苛立ちを吐露するライダーもいて、それぞれの思いがついつい口に出てしまう。

そして、多くがライダーでもあるボランティアスタッフたちは、これに共感しながらサポートを行っていく。バイクという楽しい乗り物を知っているからこそ、走行を終えてバイクを降りた参加者に掛ける声もうれしかったりもする。そんな幸せに満ちた空間が今回も垣間見ることができた。

パラモトライダー体験走行会は、次回、箱根に続いて、神奈川県相模原市の協力を得て、宮ケ瀬湖北岸道路でのツーリング企画となる(参加するパラモトライダーは認定を受けたライダーに限定される)。見学は自由だ。また通常のパラモトライダー体験走行会は、2023年11月12日(日)に熊本のHSR九州で開催される予定である。

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