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【ホンダの残念カー5選】「エレメント」に「CRZ」「クラリティ」など今なら売れたかもしれない「早すぎたクルマ」を振り返ります

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TEXT: 塩見 誠(SHIOMI Makoto)  PHOTO: 本田技研工業

クラリティ:燃料電池の先駆車

水を電気分解すると酸素と水素にわかれる。その逆で、水素と酸素をくっつけると電気が生まれる。この原理を活かした燃料電池は環境負荷が小さいエネルギー源として注目され、さまざまな企業が開発に力を入れている。

当然ホンダも早くから燃料電池に注目をしていて、1990年代から実験車を走らせていた。それが表舞台に出てきたのは2002年。ミニバン的なボディの「FCX」というモデルが実証実験車として内閣府などにリース車として納車された。

その後、燃料電池システムをさらに進化させ、ボディもセダンタイプとして開発されたのが「FCXクラリティ」というモデルだった。2007年のロサンゼルスモーターショーで発表され、2008年からアメリカでリースが開始されたこのモデルは、当初2018年には市販される、とアナウンスされていたのだが、結局はリースのみで終了し、2016年には新型である「クラリティ・フューエルセル」へとモデルチェンジしている。

そのクラリティ・フューエルセルは燃料電池スタックがさらに進化し、出力向上とともに小型化を実現。市販もされたのだが2021年9月に生産が終了している。そこには、同時期に開発されていたトヨタ「MIRAI」の存在が大きい。

2013年にコンセプトモデルが発表され、2014年11月に発売された初代MIRAIは、性能うんぬんではなく会社の体力、営業力的な部分で販売を続けることができ、2020年には2代目へと進化をしている。一方のクラリティは、2017年にPHEVモデルを追加したが、2021年には狭山工場の閉鎖に伴って生産を終了、燃料電池車から事実上撤退している。技術的な部分ではライバルに引けを取らないのに、経営陣の判断も含めたもろもろの事情から続けられないという、F1でも繰り返された事象がこのクラリティでも起こってしまった。

エディックス:3人乗り2列は結構便利だったが

前後席とも独立したシート3席を用意したことで、ベンチシートとは違った利便性を持っていたのが「エディックス」だった。2004年にデビューしたこのクルマは当時としては珍しいコンパクトなのに1795mmという全幅があったため、カーゴスペースも広く、長期間の旅行などでも使いやすかったのだが、その幅の広さが不評の元となってしまったのは残念だった。

同じコンセプトのクルマとしてフィアット「ムルティプラ」があったが、こちらは特異なデザインから販売台数は低迷。前席3人乗り独立シートのクルマは企画倒れとなる傾向があるようだ。

クロスロード:クロスオーバーSUVを先取り?

RVブームまっただ中だった1993年、ホンダがローバーから「ディスカバリー」の供給を受けて販売したのが、初代「クロスロード」。これは本格的なクロスカントリー車である。

その後2007年、「CRーV」がプレミアムSUVとなったため、もともとのユーザーの受け皿として企画されたのが2代目クロスロードだった。スペースユーティリティ性に優れたスクエアなボディを持つこのクルマは、3列目シートを使った7人乗りでも余裕が大きく、その点での評価は高かったのだが、そのスクエアなボディがともすればプアな印象となり、結局は自社のCRーVに顧客を奪われるという運命をたどってしまった。

しかしいまの目で見れば、スクエアなボディデザインはスポーティさとも映り、クロスオーバーSUVの元祖ともいえるもの。これもまた、早過ぎたホンダ車といえるだろう。

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  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 1965年生まれ。学生時代からオートバイとクルマに熱中し、自動車雑誌編集ののちフリーランスライターに。これまでAE86トレノ、CC72Vアルトワークス、E38AギャランVR-4RS、1980年式シロッコ、CD9Aランサー・エボリューション、プジョー306スタイルなど、クルマを乗り継ぐ。オートバイはCB250RS、RZ250、ZZ-R1100、T-MAXなどつねに複数台所有。現在の愛車はフタ桁ナンバーのアルファ ロメオ156V6とサーキット遊び用のNCP91ヴィッツRS・TRDターボM、JA45クロスカブ。
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