スポッターに風間靖幸を迎えて環境も走りも変わった
最終戦で山中真生の走りが変わったと感じた人は、多かったと思う。それはパワー面だけでなく、本人の意識にも変化があったからだろう。今年からチームのスポッターに風間靖幸を迎えた。毎戦、スポッターの風間靖幸とともに足まわりも煮詰めていき、戦えるマシンへつくり変えていく。風間靖幸といえば、D1GPでシリーズチャンピオンを獲ったこともある名選手。クルマづくりから単走はもちろん追走まで勝ち方を知っている。スポッターとしても超一流として知られている風間靖幸とともに、1年間つくり上げてきた成果が最終戦で爆発した。
たしかに8位という順位はそれほど凄いと呼べるものではないが、内容がこれまでと違った。正直、このまま優勝するかも? と思わせるほどの勢いがあった。しかし天は山中真生に味方しなかった。グレート8で箕輪大也と戦ったワンモアタイムの2回目くらいから雨が降り出し、路面はドライから一気にウエットへ……。これまでウエット路面でスープラを走らせていたことがなかったのだ。ウエットでのセットアップも出来ていなかったので、ここで苦しんだ。ドライだったら誰にも負ける気がしなかった走りを続けていただけに、悔やまれる天候の変化だった。
カッレ・ロバンペラの走りに大きな刺激を受けた
シミュレーターからドリフトにハマっていった山中真生の練習は、今でもシミュレーター中心。最近はシミュレーターで追走の練習もしているという。フォーミュラドリフトジャパンで戦っているドライバーも、シミュレーターで練習する人も増えてきた。ドリフトも新しいスタイルに変わりつつある。練習ひとつにせよ、走らせ方、ラインの取り方、すべてが新しい形を求めている。その大きな流れがカッレ・ロバンペラのような選手の出現だ。完璧なライン取りに速い車速など、日本のドリフトドライバーには持っていない技術もたくさん持っている。もっと強くなるには“あの領域”の走りを手に入れなければならない。
「自分もカッレ・ロバンペラ以上の走りをしていきたい。まだ対戦したことはありませんが、練習走行では一緒に走ってその凄さは感じています。先行の走りは完璧で、しかも後追いをやりやすい。後追いはラインも取りながら車間距離を詰めていき、その上で勝負を決められる。まさにフォーミュラドリフトジャパンが求めている追走がそこにあると思います。今回は一緒にシミュレーターで練習しているKANTAがカッレ・ロバンペラを倒して優勝しましたが、その戦いも凄かったと思います。自分は今回、そこまで辿り着けませんでしたが、誰にも負けない走りを身に付けたい。そのためにオフシーズンにもっと練習して、来シーズンはもっと戦えるように鍛えてきます」
山中真生は今年、D1ライツにも参戦。最終戦前までシリーズランキングトップだったが、初めて強烈なプレッシャーのなかで予選に挑み、17位敗退。チャンピオンを逃してしまった。来年はフォーミュラドリフトジャパンとD1GPに参戦する予定とのこと。まだダブルタイトルを獲った選手はいない。来年、山中真生はダブルタイトル奪取を賭けて最高峰の走りを目指す。