内外装ともにリニューアルし象徴的なボディカラーも新設定
MY14の流れをくんだ中期型最終モデルのMY15が2014年に登場した後、R35のモデルイヤーとしては初めてMY16をスキップ。2年後の2016年にリリースされたのが、後期モデルのMY17であった。Vモーショングリルを採用したフロントフェイスに加え、サイドやリアまわりも一新。さらにクオーターパネルやボンネットフードなどのメタル部分にも変更を加えてルックスを刷新している。
北米のロールオーバー基準を満たすためにルーフまわりを強化する必要があったこともあり、Aピラーを含めた剛性アップが前後バランスの改善にも寄与した。同時にGT-Rニスモも外観デザインを大幅にリニューアルし、空力性能をより高めている。
エンジンはMY15までの550psから570psへと出力を向上(基準車)。GT-Rニスモ専用エンジンの600ps仕様と同様に、気筒別点火制御を基準車にも取り入れている。
基準車はMY14以降のGT路線をさらに推進し、新デザインで高級感もプラス。実際のドライブフィールもMY15までとは一線を画す洗練されたものとなった。ピュアエディション以外のグレード全車にフジツボ製の開閉バルブ付きフルチタンマフラーが標準採用されたことも話題に。2017年に登場したMY18ではApple CarPlay対応などのエンタメ機能充実に加え、純正ダンロップタイヤの仕様も変更された。
そしてMY19が欠番となり、2019年に発表されたのがMY20である。主にGT-Rニスモに変更が加えられ、ドライカーボン製のルーフやダクト付きフロントフェンダー、カーボンコンポジットのブレーキなどを装備。姉妹誌『CARトップ』の筑波サーキットテストでは松田次生選手のドライブにより国産の量産車としては初めて1分の壁を破る59秒361というレコードタイムを叩き出した。
一方、基準車のMY20はニスモほど大きな変更点はないものの、R34のベイサイドブルーを想起させるワンガンブルーを新設定。新デザインのホイールを採用したほか、フロントアンダーやサイドステップなどをダークグレーからブラックへと変更し見た目の精悍さも増した。
その2年後、MY22がデビュー。専用色のミレニアムジェイドとミッドナイトパープルを採用する100台限定のTスペックを設定した。GT-Rニスモに採用されているカーボンコンポジットブレーキを導入してバネ下重量を大幅に低減。プレミアムエディションTスペックでは、歴代最高のしなやかな乗り味を手に入れた。
GT-Rニスモには新色のニスモステルスグレーを追加するとともに、ボンネットフードもドライカーボンに変更。スペシャルエディションではピストンリングやコンロッド、クランクシャフトなどの重量バランス取りを施した専用エンジンを搭載している。そして2023年1月、最新のMY24がお披露目された。
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R35の過去の変遷を見ると、モデルイヤーを1年休んだ後には必ず大きな変更を伴うモデルが発表されていることがわかる。MY17以降を後期型と称してきたが、外観の雰囲気がガラリと変わったMY24が登場したことで、今後は俗称を変える必要があるかもしれない。
16年間の細かい変更点をすべて網羅すると、1冊の本ができるほどR35は深化を遂げてきた。以前、田村氏は「やっと山のてっぺんに辿り着いたと思ったら、じつはまだまだ先に山頂があることに気づく」とGT-Rの開発過程を比喩していた。そうした終わりなき追求があるからこそ、R35は走りの性能を磨き続けることができたのだろう。MY24がその頂なのか。否、この先にもまだ見えないゴールが待っているに違いない。
(この記事は2023年6月1日発売のGT-R Magazine 171号の記事を元に再編集しています)