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マクラーレン「570S GT4」で障がい者チームが英国耐久レースに参戦! 青木拓磨選手の挑戦は続きます

決勝を前に手ごたえを感じていた青木選手。1日しっかり走りこんだものの、まだまだマシン慣れの時間が欲しいところ

2台のマクラーレンでチャンレンジ

実業家であるフレデリック・ソーセ率いる「SRT41」チームに合流し、2021年のル・マン24時間レースに出場した青木拓磨選手。拓磨選手は、再び障がい者チームに合流し、英国の耐久レース選手権(BEC)に出場した。合流したのはTEAM BRIT。現在BECに2台のマクラーレン「570S GT4」を走らせているチームである。

障がい者チームが通常の耐久レースに参戦する

ロードレース世界選手権(現Moto GP)のライダーであった青木拓磨選手は1998年のシーズン前のテストで転倒し、脊髄を損傷。下半身不随となってしまったことをきっかけに、車いすのレーシングドライバーに転身した。以後、アジアクロスカントリーラリー2023で総合優勝を果たすなど積極的にさまざまなカテゴリーのレースに挑戦している。

青木選手がル・マン参戦の際に合流した「SRT41」は、人喰いバクテリアによる四肢切断という事故を乗り越え、2016年にル・マン24時間レースに出場した経験を持つフレデリック・ソーセ氏率いるチーム。障がいを負ったドライバーでル・マンを目指そうと、2018年から3年計画で参戦準備を進め、コロナ禍を乗り越えて2021年のル・マン24時間レース本戦に、同じ車いすドライバーのナイジェル・ベイリー選手とともに青木選手が出場した。

今回合流したTEAM BRITは、2025年にル・マン24時間レースに史上初の障がいのあるドライバーだけで参戦する計画を持っている(SRT41はコロナ禍で義手ドライバーとして2018年から参加していたスヌーシー・ベン・ムーサ選手がチームから離脱してしまったため、健常者ドライバーとのトリオで参戦をしている)。

青木選手とペアを組むアーロン・モーガン選手は15歳の時にモトクロス競技でのジャンプで着地に失敗し、背骨を骨折した。胸椎の脊椎損傷で半身麻痺となっている。2021年にこのチームBRITに加わり、2022年には、全員障がい者ドライバーのチームの一員として英国GT選手権に出場している。先天性四肢障がいで、左手3指欠損、右手2指欠損のジェームス・ホイットレー選手は昨年のチームのルーキー育成プログラムから参戦。そして2年前にバイクの事故で右足ひざ下を欠損したポール・フリック選手が、もう一台の67号車に乗る。

2台のマクラーレンを走らせる、チームBRITのデイブ・プレーヤー代表は次のようにコメント。

「シーズン後半に青木選手をチームに迎えられるのは素晴らしいことです。彼のレース経験は豊富で、レース界に素晴らしい貢献をしています。チームのドライバーたちは彼から多くのことを学ぶだろうと確信しています」

レースウィーク前の練習走行日に青木選手はこのマクラーレンと対面した。この車両は、モーガン選手のドライブで今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで走行をした一台でもある。使用するチームBRITのハンドドライブユニットは、ステアリング裏にあるパドルでアクセル(右パドル)とブレーキ(左パドル)を操作し、シフト操作は、ステアリングコラム内に在るボタンを使用する。

このハンドドライブユニットは青木選手にとってこれまで経験のないものであり、走り出しでは、ブレーキの応答がないことで、ブレーキの握り具合を探りながらの状態だった。だが、それでも走行を重ねることでタイムも向上していき、最終的にはペアドライバーのモーガン選手に近いところまでタイムを詰めることに成功した。

翌日は走行がなかったものの、チームはドライバー交代の練習を繰り返し、決勝レースに備えていた。2023年10月14日(土)に決勝を迎えた英国耐久レース選手権最終戦ドニントンパークは、全長4.02kmのGPコースを27台が走行した。2時間の耐久レースとなった決勝は、あらためてリポートする予定だ。

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