23回目にして、初めてコンクール・デレガンス形式で開催
これまでのロールス・ロイス&ベントレー・デイは、愛車を並べてクルマ談議に花を咲かせるミーティング型のイベントとして、20年以上の歴史を重ねてきたのだが、今回は初めて、本格的なコンクール・デレガンス形式で行われることになった。
ジャッジは、株式会社カーグラフィック社長の加藤哲也氏を審査委員長とし、かの白洲次郎・正子夫妻の孫で古美術に造詣の深い白洲信哉氏、さる自動車メーカーの現役デザイナーである久保田記生氏、そしてベントレー・ジャパンで長らく名物広報マンだった横倉 典氏が審査員として参加。またR-R/ベントレー専門の博物館にて20年以上キュレーションに携わっていた筆者も、事務方も兼ねて審査メンバーに名を連ねさせていただいた。
いっぽうエントリーは、今回のイベントに参加したクラブメンバーの愛車すべてが対象。「CLASS A/R-R:第二次大戦前のロールス・ロイス」、「CLASS A/B:第二次大戦前のベントレー」、「CLASS B/R-R:第二次大戦後のロールス・ロイス」、「CLASS B/B:第二次大戦後のベントレー」、「CLASS C/R-R:シャドウ/SZ時代のロールス・ロイス」、「CLASS C/B:Tタイプ/SZ時代のベントレー」、「CLASS D/R-R:21世紀のロールス・ロイス」、そして「CLASS D/B:21世紀のベントレー」からなる8クラス・46台を、朝の開会式の直後から審査員全員で1台1台を、午前中いっぱいかけて検分・採点しながら歩き回る。
そののち、車両の希少性やスタイリングの美しさ、オリジナリティやコンディションなどについて、それぞれの評価軸から採点。その集計結果をベースに、まずは各クラスの部門賞を決めたのち、今回のコンクール最上位に相当する「ベスト・オブ・ショー」の決定に至ることになっていた。
8クラス46台の頂点に輝いたクルマとは?
その結果「第二次大戦前のロールス・ロイス」クラスは1938年型「ファントムIIIパークウォード製ツーリングリムジン」。「第二次大戦前のベントレー」クラスは1929年型「W.O. 4 1/2リッター・ブロワー」。「第二次大戦後のロールス・ロイス」クラスはオーナー自らレストアを手がけたという1961年型「シルヴァークラウドII」がそれぞれ選出された。
大激戦区となった「第二次大戦後のベントレー」は、昨年の米ペブルビーチ・コンクール・デレガンス1938年型「ファントムIIIパークウォード製ツーリングリムジンにも出場した1953年型「Rタイプ・グラバー製DHC」。「シャドウ/SZ時代のロールス・ロイス」クラスは、1978年型「コーニッシュ2ドアサルーン」。「Tタイプ/SZ時代のベントレー」クラスは、1991年型「コンチネンタル」。「21世紀のロールス・ロイス」クラスは、じつは超希少車の2001年型「コーニッシュⅤ」。「21世紀のベントレー」クラスは2016年型「ミュルザンヌ・スピード」が部門賞を獲得した。
そしてこの中から、「ベスト・オブ・ショー」に1938年型R-RファントムIIIパークウォード製ツーリングリムジン。「ベスト・ベントレー」には、1953年型Rタイプ・グラバー製DHCが、それぞれ最高得点で受賞。
さらに審査員特別賞として、1950年型R-R「シルヴァーレイス フリーストン&ウェッブ製DHC」。クラブメンバーの投票による特別賞として、ロールス・ロイスは1956年型シルヴァークラウド、ベントレーは1928年型「W.O. 6 1/2リッター・スペシャル」が選出された。
* * *
あくまで身内のコンクールではあるものの、赤レンガ倉庫前広場は一般ギャラリーや外国人も含む観光客で大盛況。そんな中で行われた表彰式では、受賞されたオーナーたちの晴れやかな表情が見られることになったのだ。