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【バブル時代の超人気車】メルセデス・ベンツ「190E 2.3」と「500E」の現在の市場価値は? 極上コンディションでも手が届くプライスでした

6万5550スイスフラン(邦貨換算約1080万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「500E」(C)Courtesy of RM Sotheby's

予想の範囲内に収まった2台のメルセデス・ベンツ

2023年9月15日、RMサザビーズがスイス・サンモリッツで開催したオークションに、メルセデス・ベンツ「190E 2.3」と「500E」が出品された。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。

レア車の中にひっそりといた2台

自動車のコレクターというのは世界各国にいて、希少なモデルを集めていたりする。その中で期間限定であったり所有車の一部のみであっても、一般に公開している場合には、収集したクルマたちを総じてコレクションと呼ぶ。

そんなコレクションにも大小があって、自動車メーカーが運営管理をしている場合には数百台という規模となるし、個人が運営しているところでは数十台というところもある。そんな小規模コレクションでは、展示保管スペースの問題などから、定期的に所有車を入れ替えることがある。

今回スイス・サンモリッツで開催されたRMサザビーズオークションに、スイス・シュヴィール州フライエンバッハにある、イセリ・コレクションの所有車が数台出品されていた。なかにはメルセデス・ベンツ「190E 2.3-16」をベースとした、ニキ・ラウダがドライブしたレーシングマシンのような希少車もあったのだが、一般に市販されたモデルの極上コンディション、といえるものもあったので、それらを2台まとめて紹介しよう。

日本で人気だった500E

まず1台目は、1992年式のメルセデス・ベンツ「500E」だ。ご存知のようにW124型のEクラスは、歴代でもトップクラスに人気の高いモデルである。その中で500Eは、メルセデス・ベンツと同じくシュツットガルトに本拠を置くポルシェが開発に加わった、スポーツサルーンだ。

5LのV型8気筒32バルブエンジンを搭載し、そのパワーを受け止めるためにサスペンションとブレーキはR129型SL用を移植。そのサスペンションやブレーキを収めるためにフェンダーをワイド化するという、ほぼレーシングマシンのようなつくりかたをしていたこのモデルは、とくに日本での人気が高く、当時は多くの個体が街を走っていた。

今回出品されたのはブルーブラックメタリックのもの。走行距離は9万9000km弱と少なく、内外装ともに非常に状態がいい。エスティメート(推定落札価格)は6〜7万スイスフラン(邦貨換算約1000〜1150万円)となっていたが、落札価格は6万5550スイスフラン(約1080万円)と、予想の範囲内だった。日本での新車価格が1550万円だったことを考えると、年数による希少さも含めて、妥当なプライスといえるだろう。

スイス仕様の190E 2.3

もう1台は1987年式のW201型「190E 2.3」である。日本では1990年に発売されたが、本国では1986年から販売されていた、シングルカム6気筒エンジン搭載モデルだ。ボディカラーはブラックパールメタリックで、エアコンやパワーウインドウ、サンルーフを装備したスイス仕様車となっている。これまた内外装ともに状態が良く、走行距離は9万km弱というもの。

こちらのエスティメートは1万6000〜2万スイスフラン(約280〜330万円)となっていたが、落札価格は1万3800スイスフラン(約227万円)というものとなった。いかに極上車でも目を惹くポイント、たとえば「2.3-16」であるとか、「2.5-16」である、といったようなモノがなければ、こういうプライスとなるのかもしれない。

しかし普通であるからこそ、状態のいい個体が少ないのも事実。35年ほど前の日本車、たとえばE30系「ギャラン」を例にとると、VR-4はなんとかあっても普通のギャランがあるかというと、まず見つからない。だからこそ、この190E 2.3を落札した人には大事にしてもらいたいと思う。

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