マセラティがフォーミュラEに投入する新たなマシン
マセラティMSGレーシングは、FIAフォーミュラE世界選手権シーズン10に挑む新たなマシン「マセラティ ティーポ フォルゴーレ(Maserati Tipo Folgore)」を公開した。新シーズンでの活躍が期待されるマシンの詳細をお伝えしよう。
電動化の未来を象徴するカラーリング
スペインのバレンシアにあるリカルド・トルモ・サーキットで行われたプレシーズンテストの前夜に発表された新しいマセラティ ティーポ フォルゴーレは、歴史的な新時代の幕開けを迎えた2023年シーズンで実証されたレースでの勝利へのテクノロジーとともに、モータースポーツにおけるマセラティブランドの卓越した伝統と、革新的な電動化の旅が続くことを象徴する新たな美観を備えたマシンだ。
新たなカラーリングは、2030年までに100%電動化するマセラティのフォルゴーレモデルの特徴的な色調を想起させる、ラメフォルゴーレ(銅=コッパーの輝き)をリアにアクセントで配したものだ。ふたつの異なる要素を見事に融合させ、サーキットから公道まで、変わらないパイオニアとしての力強い存在感を放っている。
数多くの快挙を達成したマセラティ
フォーミュラEのシーズン9は、イタリアン・ブランドの世界選手権シングルシーター競技への復帰を意味し、マセラティは66年前にフォーミュラ1に参戦して以来、初めてのグリッド復帰となった。ポールポジション2回、表彰台4回、そして1957年のドイツGP以来となるマセラティブランドのシングルシーターレースでの歴史的勝利となるジャカルタでの優勝など、数々の快挙を達成した。
マセラティの代名詞であるブルーに注目したシーズン10のマセラティ ティーポ フォルゴーレのリベリーは、その意思の表れであり、未来を示唆するフォルゴーレカラー、コンテンポラリーなコッパーディテールを採用していることが特徴となっている。
レースでの性能はロードカーにフィードバックされる
フォーミュラEの画期的なGen3パッケージ(これまでのFE世界選手権で最速かつ最もエネルギー効率の高い車両)を使用したこの車両は、まさに電気自動車の性能におけるベンチマークだ。350kWの出力で最高速度は時速200マイル(約320km/h)を超え、600kWの回生ブレーキ機能により、レース中に使用される全エネルギーの40%が回生エネルギーでまかなわれる。レースでの経験が今後の公道走行用モデルの開発に引き継がれることから、フォーミュラEとマセラティMSGレーシングの活動は、マセラティの電動化の旅において重要な役割を果たす。
今回、初開催となる東京でのレースを含む全17戦で構成されるフォーミュラEのシーズン10は、シリーズ史上最大規模となる。プレシーズンテスト終了後の2024年1月13日にメキシコシティでの開幕を予定しており、新シーズンでの活躍が期待される。
AMWノミカタ
新カラーリングはマセラティブルーとコッパー(銅色)。フォルゴーレモデルをイメージしたラメフォルゴーレ(コッパーの輝き)をリアにアクセントで配している。マセラティの伝統のブルーがスポーツを、そしてラメフォルゴーレが電動化を象徴しているわけだが、そもそもコッパー(銅)は、電気伝導効率が高く、ケーブルに多く使われている金属である。銅の電気伝導率を100とした場合、ゴールドは75.8であるので、銅の方がより効率的であることがわかる。シルバーの電気伝導率は105.7とコッパーよりも上であるが、銅のほうが価格が安価で入手しやすい。モーターのコイルに銅線を使うこともあるだろうが、「電動化」を象徴するカラーとして銅色であることには理由があるのだ。