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なぜスバル「ヴィヴィオ」のスーパーチャージャーを戦前の英国レースカーに装着?「オースティン セブン」を4台持つオーナーに聞いてみました

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一

  • オブジェ(?)を含むとなんと4台ものオースティン セブンを所有しているという鈴木 尚さん
  • 手作りのエンブレムには排気量を表した750の文字があしらわれている
  • レーシングカーは小径の15インチサイズのホイール&タイヤの組み合わせがポピュラーだ
  • フレーム後部へ取り付けられたリーフスプリングとフリクション式ダンパーが見える
  • シート背面はアルミで作られたフェアリングに沿った形状に合わせている
  • ステアリングホイールのモチーフにあるノーザンプトンは、この個体が長らくあった地だろうか。いい靴ができる町だ
  • シフトもリンケージを延長し、直立し操作性を向上している
  • シングルシーター化により、本来左にあるギアボックスをまたがっての運転姿勢となる
  • 角パイプでできたエキゾーストマニホールドがカッコいい! 反対側にはSUキャブ
  • スバル ヴィヴィオで使われているスーパーチャージャーを一時的に拝借し装着している
  • スバル ヴィヴィオで使われているスーパーチャージャーを一時的に拝借し装着している
  • スーパーチャージャーの恩恵は大きい。コース上では他車を圧倒した速度で駆け抜ける

英国から日本に入れてまだ1年の1937年式オースティン セブン レーサー

1923年から生産が開始された「オースティン セブン」は2023年で生誕100周年。イギリスで小型大衆車の普及に貢献しただけでなく、モータースポーツを身近な存在としたクルマでもある。千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された「サイドウェイ・トロフィー」には、7台ものオースティン セブンが参加。今回は、その中でもひときわ目立つシングルシーター仕様の1937年製「オースティン セブン レーサー」のオーナーに話を聞いてみた。

気づけば4台のオースティン セブンを所有

「オブジェになってしまったのを含めると、計4台のオースティン セブンを持っています」

と言うのは、シングルシーター仕様のオースティン セブン レーサーを持ち込んだ鈴木 尚さん。このマシンは約1年前にイギリスで売り出されたものを購入し輸入したものだという。

「15年くらい前に手に入れた最初のオースティン セブンは複座のスペシャルボディでした。それではラフェスタ・ミッレミリアや、ブリティッシュ・クラシック・マラソンといったヒストリックカーラリーを楽しんでいました。その後、別の個体も手に入れましたがかなりダメージがあって、直せたらいいなと思っているうち、そのままどんどん朽ちていってしまい、今はオブジェになりかかっています(苦笑)」

このサイドウェイ・トロフィーを主催運営する東京都世田谷区の英国車ショップ「パルクフェルメ」の店頭にポツンとオブジェのようにというか、すでにオブジェとして置かれているオースティン セブンは、実は鈴木さんのものなのだった。

「1台目のセブン スペシャルは当時物のスーパーチャージャーが装着されていて、速いし調子も良くて、1600kmを走行するラフェスタ・ミッレミリアも完走しましたし、楽しい思い出はたくさんありますが、今はスーパーチャージャーが壊れてしまって動かないんですよ。部品も当時の物ですので簡単に見つかりません。そうしてるうちに手頃な価格の個体が出ると手に入れてしまい、いつの間にか4台持ちになってしまいました」

この日はスバルの軽自動車用スーパーチャージャーを付けて走行

まだ日本に来て間もないという、シングルシーター・スペシャルのエンジンルームを覗くと、これにもスーパーチャージャーが装着されているようだ。比較的新しいもののように感じたので、鈴木さんに尋ねてみた。

「じつは、これにも当時物のスーパーチャージャーが付いていたんですけど、日本に来たときに、ここ(袖ヶ浦フォレストレースウェイ)で試走した際、ケースが壊れてしまったんですよ。今日は、オースティン セブンが集まるということで、とりあえずスバルのを流用して、走行できるようにしたんです」

ちなみに、こうした戦前車のモディファイでスバルの軽自動車「ヴィヴィオ」で使われているスーパーチャージャーを使うのは、英国でも珍しくないメニューだそうだ。

「スーパーチャージャーのケースもですが、約80年前の部品ですので、壊れたら手に入らないですし、簡単には直せないので今日は慎重に走ります」

そう言って、鈴木さんは出走の準備に戻ったのだった。

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