エアロダイナミクスでさえ造形美の一部
マットブラックのサイドエアインテークは、インタークーラー用とエンジン用に独立したダクトを備えている。さらに上部にはエンジン・コンパートメントからの排気口も備わる。これら縦方向のエレメントは、かつてのフェラーリによくみられた横方向のストレーキをインスピレーションとしている。
フロントフェイスは、フルワイドのアルミ鋳造グリルで、3Dプリントによる単体の型から製作された。グリルにも同じストレーキのテーマが採用されていおり、これは垂直方向であるが正面から見るとサイドに向かって間隔が少しずつ広がっている。これによって左右のラジエーターへと気流をスムーズに導く。
特殊な形状をした5本スポークのホイールは、このモデルのためだけの専用デザインで、フェラーリのスポーツ・プロトタイプや伝説のF40に採用されたクラシックなリムを現代風にアレンジしたもの。軽量化のための開口部ですら、ホイール全体の美しさと調和する巧妙なデザインワークの一部となっているところが見事だ。
何もかもがこのモデルのためだけの特別仕様
センターコンソールにはF1ギアボックス・コマンドを装備しており、シフトゲートはこのモデルのためにモディファイされた。さらに、シートはレザーエッチングを施したネイビーブルー・アルカンターラと、グラデーション効果のあるクロスを組み合わせている。さらにカーペットは玉虫色に見える特殊なツイル織りとなっているなど、スペシャルなモデルに相応しい豪華な仕様だ。
ボディカラーはSP-8のために特別につくられた「アルジェント・ミカリッザート」で、同じく特別な色と仕上げ(光沢のある玉虫色のブルー・サンドストーン)のカーボンファイバーと見事に調和している。ふたつのボディワークをつなぐカラー「ブルー・スクーロ・ステッラート」も特別に開発されたもので、何もかもがこのモデルのためだけに設えられた、まさに一級品といえる1台に仕上がっている。
SP-8はフェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ終了までムジェロ・サーキットで展示されたのち、2023年11月16日から来年3月までマラネッロのフェラーリ・ミュージアムで展示される予定である。