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【ジャパンモビリティショーで比較】ソニー・ホンダモビリティ「アフィーラ」とBMW「ビジョン・ノイエ・クラッセ」に見る同じ生き残り戦略とは

ソニーとホンダが手を組んだクルマとBMWの未来カー

2023年10月26日(木)~11月5日(日)まで東京ビッグサイトで開催されている「ジャパンモビリティショー2023」において、BMWは「ビジョン・ノイエ・クラッセ」をアジアで初公開した。また、ソニー・ホンダモビリティは日本初となる「アフィーラ プロトタイプ」の一般展示を行った。ドイツの老舗自動車メーカーと、日本の異業種メーカー同士が手を組んだ超新興メーカーというまったく異色の両社ではあるが、その意外な共通点を探りながら展示車両を紹介していこう。

老舗メーカーと新興メーカーが見る未来

BMWはジャパンモビリティショー2023において、BMW「X2」および「iX2」を世界初披露し、さらにミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2023にて世界初お披露目された「ビジョン・ノイエ・クラッセ」をアジアで初公開した。

いっぽうソニー・ホンダモビリティ(以下、SHM)は、米国ネバダ州ラスベガスで開催された「CES2023」で披露していた「アフィーラ」のプロトタイプの一般展示を日本で初めて行った。

2022年、ソニーグループ株式会社と本田技研工業株式会社は、モビリティ分野において戦略的提携を結び、ソニー・ホンダモビリティ株式会社を設立した。そのSHMがデリバリーする新ブランドが「AFFELA(アフィーラ)」で、「人とモビリティの新たな関係を提案する」というコンセプトのもと、このプロトタイプをベースに開発が進められている。2025年前半から先行受注を開始し、同年中に発売予定で2026年春から北米でのデリバリーが開始される予定となっている。

エクステリアに現れた伝統と革新性

BMWのビジョン・ノイエ・クラッセは、エクステリアのデザインワークにおいて必要なもの以外を削ぎ落とし、特徴的なラインとクリアなデザイン言語を体現することにより、キドニーグリルやホフマイスター・キンクといったBMWの象徴的な特徴を際立たせている。それらBMWらしい伝統を継承しながらも新たな解釈を加えることで、車両のフロントエンドはひとつの対話の場へと変貌を遂げ、高精度な3次元アニメーションによる照明効果により、ヒトとクルマの間で直感的な対話が始められるようデザインされている。

いっぽうのアフィーラは、「人が、モビリティを“知性を持つ存在”として『感じる』こと、また、モビリティがセンシングとネットワークに代表されるIT技術を用いて、人と社会を『感じる』こと、というインタラクティブな関係性を表現」したエクステリアとなっている。

BMWが伝統を継承しながらも次世代のモビリティの未来を見据えているのに対し、SHMは最先端の技術と感性を掛け合わせ、創造性で未来を切り開いていくという姿勢を示している。じつは未来に向かう両車に共通しているのは、ヒトとクルマのインタラクティブな関係性なのである。

ヒトとクルマのインタラクティブな関係

BMWグループではディスプレイと操作のコンセプトを次世代の車両に導入し、2025年以降に新しいBMW iDriveをノイエ・クラッセへ搭載する予定としている。それによりドライバーと車両とをまったく新しい直感的な対話でつなぐという仕組みを実現させる。

ノイエ・クラッセのシステムは、高度に統合されたソフトウェア・アーキテクチャに基づき、次世代のBMWオペレーティング・システムを採用している。BMWクラウドによる車両のスマート・コネクティビティと顧客のデジタル・エコシステムが、没入感のあるユーザー体験を作り出し、人とクルマの対話を新しい次元へと導き、ノイエ・クラッセの車両をデジタル体験スペースへと変貌させるのだ。次世代BMW iDriveにより現実世界と仮想世界を融合させた独自のデジタル・ユーザー体験がつくり出される。

アフィーラは、HMI(SHMの人と機器をつなぐ装置や手段の総称)によってクラウドで提供するサービスと連携し、ユーザーごとにパーソナライズされた車内環境を実現し、運転以外の楽しみも提供していく。さらに、リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンタテインメント空間、感動空間へと拡張する。メタバースなどデジタルをフルに活用し、新しいエンタテインメントの可能性も追求していく。その一例として、Epic Gamesとモビリティにおける新しい価値観やコンセプトの検討を開始している。

自動車産業の新潮流

内燃機関から電動化へという大きな転換期にある自動車業界において、その激動の変革の流れはパワーユニットにとどまらない。ヒトとクルマの関係性そのものも進化していっているのだ。ヒトがクルマとどのようにインタラクティブな関係を構築していくのか。こうした新たなビジョン抜きには、長い伝統を持つ老舗メーカーであれ、異業種のメーカー同士が手を組んで新たな活路を見出そうとする新興メーカーであれ、この大きな潮流に乗って勝機を掴むことはできないということなのだろう。

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