ついに現実の車両がアンベール
伝説のスーパースポーツの復活版として、全世界のアルファ ロメオ愛好家やスーパーカーファンを震撼させたアルファ ロメオの新作スーパーカー「33ストラダーレ」は、2023年8月30日にオフィシャルフォトと概要、そして「ワールドプレミア」と称する動画が発表された。しかし、量産バージョン/プロトティーポ(試作車)問わず、これまで実車が公衆の面前に姿を見せる機会はなかったのだが、2023年10月25日~29日にイタリア・ボローニャにて開催されたクラシックカーのトレードショー「Auto e moto d’Epoca(アウト・エ・モト・デポカ)2023」の「FCAヘリテージ」ブースにおいて、ついに現実の車両がアンベールされることになった。
神の造形を現代に昇華した?
アルファ ロメオの新型スーパーカー「33ストラダーレ」は、そのアイコニックな車名にあやかって、世界限定でわずか33台のみが生産される。また、オーダー主が内外装のマテリアル/カラーはもちろん、パワートレインまで選ぶことができる専用プログラムを採用。ICE(ガソリン)版とBEV版からなる、2つのパワートレインが用意される。
ガソリンエンジンモデルは、最高出力620psを発生するV型6気筒3.0Lツインターボを搭載し、最高速度は333km/h、0-100km/h加速は3秒以下のパフォーマンスを発揮するとのこと。もういっぽうのバッテリーEVモデルは、システム最高出力750ps以上を標榜し、推定航続距離は450km(WLTP規格値)というスペックが発表されている。
しかしこのモデルにおける最大のトピックは、やはり往年の傑作「ティーポ33/2ストラダーレ」へのオマージュを全身で表現した、いわばセルフカバーともいうべきボディにあるといわねばなるまい。そもそも伝説の鬼才、フランコ・スカリオーネが手掛けた元祖ティーポ33/2ストラダーレは、時代を超えた圧倒的なプロポーションから、強烈な個性を感じさせるディテールまで、まさしく神の造形であった。いっぽう新生33ストラダーレでは、マセラティMC20との血縁関係は感じさせるものの、オリジナル版ティーポ33/2ストラダーレのデザイン要素が巧みに込められている。
たとえば、ドアの上部をルーフ中央まで回り込ませるとともに、そのヒンジを斜めに取り付け、上方に向けて開かせるというスカリオーネの天才的アイデアが再現されているほか、フロントスポイラーのすぐ上まで回り込む形状とされた巨大なヘッドライトカバーは、市販前に2台のみが製作されたプロトティーポの縦4灯ヘッドライト用カバーへのオマージュといえるだろう。くわえて、ティーポ33/2ストラダーレのスタイルを現代に昇華したものとされているインテリアについても、この目で確かめる日がようやく訪れたのだ。