ヘリテージのブースは、まさに興奮のるつぼと化した!
「Auto e moto d’Epoca 2023」開幕日の10月25日(木)午前の段階では、まだアルファ ロメオの紋章を掲げた深紅のベールに包まれていた新生33ストラダーレながら、その状態であってもヘリテージのブースにはギャラリーたちがひっきりなしに訪れ、熱心にカメラやスマートフォンを向けていた。さらに、この日の午後2時30分に予告されていたアンベール&プレゼンテーションに向けて、2時を過ぎたあたりから周囲には人垣ができはじめ、会場の期待感は否応なしに高まってゆく。
そしてイタリアでは珍しく、午後2時30分の定刻どおりにプレゼンテーションはスタート。かつてはフィアット・グループの「チェントロスティーレ」でスティリスタ(スタイリスト≒デザイナー)として活躍し、現在ではヘリテージの最高責任者であり、そして、じつは新生33ストラダーレの仕掛人ともいわれているロベルト・ジョリート氏が、自らプレゼンターとして主要スタッフとともに登壇した。
新たな伝説のはじまり
元祖ティーポ33/2ストラダーレは、ホイールベース2350mm、全長3970mm×全幅1710mm×全高990mmと、現代の眼で見ればきわめてコンパクト。この小ささが「トランジスターグラマー」的、あるいは現代アート的な美しさが重要な要素となっているのは、多くのファンが認めるところであろう。
そのいっぽうで、アンベールののち筆者の眼前に全容を見せた33ストラダーレは、かなり雄大な印象だった。聞けばホイールベースは2700mm、全長4637mm×全幅1966mm×全高1226mmという、いかにも現代のスーパーカーらしいサイズ感。この日、直前に別ブースで見たマセラティ「MC20」との近似性が否応なしに感じられてしまったのも、正直なところである。
またこれまで見てきた広報写真では、ディテールにいささか煩雑な印象も抱いていたのだが、こうして現車と対面してみると、往年のティーポ33/2ストラダーレのグラフィックを現代に再現し、空力パーツなどに活用していることが良くわかる。
このファーストインプレッションはあくまで筆者の私見によるものながら、会場に立錐の余地もなく詰めかけた観衆にとっても共有されていたに違いない。アンベールの瞬間からプレゼンテーションの終了まで、ヘリテージのブースはまさしくヒートアップ状態にあった。そして、世界的パンデミックで忘れかけていた、新型スーパーカーを取り巻いてエキサイトする素晴らしい体験が、ここにはあった。この日われわれが目の当たりにしたのは、アルファ ロメオと33ストラダーレが織りなす、新たな伝説のはじまりだったのである。