2018年式911GT3、ついにローン審査へと踏み出したが、無事に申込書に捺印!?
トラベル系コンテンツディレクターとして糊口をしのぐ筆者が、齢60を前にしてドライブ旅行やスポーツ走行にも挑戦したいという想いから、憧れだった羽根付き「ポルシェ911」の購入を決意。経済的にも体力的にも限界にきている(?)アラカンのシニアにポルシェは翼を授けるのか? ローン審査はどうなった?
審判いや信販(笑)を待つ7日間。周囲は否定気味? なれど心は不動ナリ
ローン審査の結果を待つ間、年甲斐もなくソワソワしていたので、ある行動をとってみた。古代の人は、発言した言葉通りの結果を実現する力=言霊(ことだま)を信じていたそうだが、私も「GT3に乗る!」と言葉を発することで、それがきっと現実につながると信じ(笑)、審査を待つ間、周囲に話してみたのだった。
そのうちのひとりは、通院しているクリニックのU院長先生である。先生は歴代911ターボを乗り継いでいるポルシェ乗り。もう還暦をとうに超えている。「GT3に乗ります」と切り出すと、
「はーっGT3ですか! 楽しむなら体力も気力もしっかり養って、健康を維持しないとね。来たら乗せてください」
と先生。これ、健康第一という広い意味でのご発言だとは思うが、この「はーっ」という感嘆詞が気になった。「ほー」ではない。感心と驚き、そこにホントに乗るの? 乗れるの? というような懐疑的なニュアンスがあるように感じたのだ。けっこうなポルシェ乗りでもある人の言葉である。GT3ってカレラ系と違ってより体力や気力が必要なのか? ビビりなおっさんにはやはり厳しいのか? なんて感じたのである。
そしたら先生、
「991型なら以前のGT3よりは快適そうですけど、たしか乗り心地は硬く、4WDのターボよりもぜんぜんシャープ。それに車高が普通の911よりも低いし、本格的なバケットシート仕様だと乗り降りも歳とともにきつくなるでしょうね。還暦を超えると体力は一気に衰えますから、体幹を鍛えたりして背中や腰を痛めないように気を遣わないとね」
とのこと(笑)。さらに先生はこう続けたではないかっ!
「じつは私はターボを降りてしまって、992の素のカレラにしたんですよ。かなりスポーティで音もイイの。私にはカレラでも十分過ぎる」
65歳目前にしてターボを降りた先生。かたやアラカン目前にして必死になって羽根付きに乗ろうとする私。心に余裕ある者と無理して背伸びする者の違いのようでちょっと複雑な気持ちになった。
(ちなみに先日、新しい992型カレラTに触れる機会に恵まれたが、軽くて操縦性もスポーツ度満点のクルマだった。驚いたのはシート位置。一番下にしたところ991GT3もびっくりのレーシーなポジションが得られるじゃないですか! ベーシックなクルマだけど、ただならぬクルマでしたねぇ。ただ、992型からのデジタルメーターがどうにも気に食わないが……)
しかしである。釣りには「フナにはじまりフナに終わる」、バイクでも「カブにはじまりカブで終わる」という。人は年齢や経験を重ねて、素やベーシックなもの、初心の頃に戻るということなのだろう。だが、先生も老練な釣り師もベテランライダーも、大物に大排気量マシンなどそれぞれがいろいろと体験してきたからそう言えるのである。素がいいと言えるのは、そうした経験を重ねてきたからこそではないか? だが、私はいまだ羽根付き911の魅力を知らない。やっぱり人生の中で羽根つきに乗っておかねば、素の境地には至れないのだ。