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「イチキュッパ」のポルシェ991後期型「911GT3」に1200万円で乗れる!? 還暦前オヤジの「残価設定ローン審査待ち」ソワソワ編【役物911長期レポ】

ご縁のあった2018年式991後期GT3のボディカラーはジェットブラック、センターロックホイールもブラックカラーといかつい雰囲気。なおドアミラーは手動デス(笑)

2018年式911GT3、ついにローン審査へと踏み出したが、無事に申込書に捺印!?

トラベル系コンテンツディレクターとして糊口をしのぐ筆者が、齢60を前にしてドライブ旅行やスポーツ走行にも挑戦したいという想いから、憧れだった羽根付き「ポルシェ911」の購入を決意。経済的にも体力的にも限界にきている(?)アラカンのシニアにポルシェは翼を授けるのか? ローン審査はどうなった?

審判いや信販(笑)を待つ7日間。周囲は否定気味? なれど心は不動ナリ

ローン審査の結果を待つ間、年甲斐もなくソワソワしていたので、ある行動をとってみた。古代の人は、発言した言葉通りの結果を実現する力=言霊(ことだま)を信じていたそうだが、私も「GT3に乗る!」と言葉を発することで、それがきっと現実につながると信じ(笑)、審査を待つ間、周囲に話してみたのだった。

そのうちのひとりは、通院しているクリニックのU院長先生である。先生は歴代911ターボを乗り継いでいるポルシェ乗り。もう還暦をとうに超えている。「GT3に乗ります」と切り出すと、

「はーっGT3ですか! 楽しむなら体力も気力もしっかり養って、健康を維持しないとね。来たら乗せてください」

と先生。これ、健康第一という広い意味でのご発言だとは思うが、この「はーっ」という感嘆詞が気になった。「ほー」ではない。感心と驚き、そこにホントに乗るの? 乗れるの? というような懐疑的なニュアンスがあるように感じたのだ。けっこうなポルシェ乗りでもある人の言葉である。GT3ってカレラ系と違ってより体力や気力が必要なのか? ビビりなおっさんにはやはり厳しいのか? なんて感じたのである。

そしたら先生、

「991型なら以前のGT3よりは快適そうですけど、たしか乗り心地は硬く、4WDのターボよりもぜんぜんシャープ。それに車高が普通の911よりも低いし、本格的なバケットシート仕様だと乗り降りも歳とともにきつくなるでしょうね。還暦を超えると体力は一気に衰えますから、体幹を鍛えたりして背中や腰を痛めないように気を遣わないとね」

とのこと(笑)。さらに先生はこう続けたではないかっ!

「じつは私はターボを降りてしまって、992の素のカレラにしたんですよ。かなりスポーティで音もイイの。私にはカレラでも十分過ぎる」

65歳目前にしてターボを降りた先生。かたやアラカン目前にして必死になって羽根付きに乗ろうとする私。心に余裕ある者と無理して背伸びする者の違いのようでちょっと複雑な気持ちになった。

(ちなみに先日、新しい992型カレラTに触れる機会に恵まれたが、軽くて操縦性もスポーツ度満点のクルマだった。驚いたのはシート位置。一番下にしたところ991GT3もびっくりのレーシーなポジションが得られるじゃないですか! ベーシックなクルマだけど、ただならぬクルマでしたねぇ。ただ、992型からのデジタルメーターがどうにも気に食わないが……)

しかしである。釣りには「フナにはじまりフナに終わる」、バイクでも「カブにはじまりカブで終わる」という。人は年齢や経験を重ねて、素やベーシックなもの、初心の頃に戻るということなのだろう。だが、先生も老練な釣り師もベテランライダーも、大物に大排気量マシンなどそれぞれがいろいろと体験してきたからそう言えるのである。素がいいと言えるのは、そうした経験を重ねてきたからこそではないか? だが、私はいまだ羽根付き911の魅力を知らない。やっぱり人生の中で羽根つきに乗っておかねば、素の境地には至れないのだ。

あれこれ他の可能性も頭をよぎるけれど……

オフロードバイク仲間でハチロク好きの知人О君の場合は、話したとたんに全否定された(笑)。

「新しいポルシェに乗りたいならMTのケイマンを買って少しイジるほうが断然楽しいと思うなぁ。で、俺なら加えてサンバーいやハイラックス・トラックも買いますねぇ。ついでに新しいヤマハYZ450Fに買い替えちゃうなぁ。それのほうが格段に楽しくてシアワセを感じる。維持費だってきっとGT3の1台分よりかからないんじゃないかな」

と……。それもわかる。予算で考えればかなり楽しそうだ。ヤマハの新型YZ450Fもイイ! 軽くてトラコンもついて以前のモデルよりも格段に扱いやすくなっている。これも憧れの1台だ。ソロバンをはじくと981ケイマンSなら相場はだいたい600万円前後のレンジ、前述したようにいつか欲しいスバル製最終型6代目サンバーは150万円前後、YZ450は新車で115万円……、全部足してもGT3の購入金額の半分以下で楽しめる。仮に981ケイマンGT4を選んだとしても、GT3の購入金額には至らない。こう聞くと心が多少揺れたのも事実。

まぁ、あーだこうだと、購入前の話というのはじつに楽しいものだ。だが、しかし、羽根付き911は子どもの頃からの長年の夢なのである。今はこの1台に賭ける! それに維持費だって、持ってみなけりゃわからない。

ほかにも「それ最高! 買ったら貸して」という後輩にはじまり、「分相応でないのに無理して買うと心から楽しめないのでは?」「GT3はハード、気も遣う。いいクルマだけど乗り手次第。気軽には乗れないよ」といった意見も。そんな悩みと楽しいクルマ談義が交錯する7日間はあっという間に過ぎ、ついにクルマ屋さんに返答する日が来てしまった……。

約2000万円のクルマが約1200万円で乗れる!? 残価設定ローンという必殺技

早ければ3、4日で審査結果がわかると言っていたのに、購入の意思を伝える返答の日になってもまだこなかった。これだけのものを買う信用があるのかないのか? 合格か不合格か? の受験の頃を思い出させるかのような時が過ぎた。身体に悪い。そして返答日当日お昼になってようやくショップの営業担当氏から連絡が入った。

結局7日間もソワソワ、ドキドキ、そんな精神状態をよそに「あ、さっき連絡が入ってローン審査通りましたよ~」というではないか! その瞬間、雄叫びを上げたのはいうまでもない。めでたくアラカンのおっさんに桜は咲いたのだった。だが、しかし、正直なところ、うれしい気持ち7割、不安な気持ち3割。複雑です。なにせ6年間の返済期間、最終回は残価設定分がドカンとくる残価設定ローンである。だいたい、通ったとしても、この先、払っていけるのか? やっぱりそこが若い頃と違って心配ではあった。維持も含め今後どうなるのかはこの後のGT3との暮らしで明らかになるだろう。

さて、内訳はこうだ。残価率はケースによって変わるそうで、今回の場合、残価分はなんと約700万円。最終回の残価分と頭金を差し引くと金額は約1200万円であった。下取りを加えれば、約1000万円まで落とせそうであった。世帯年収的には相当ハードルは高いラインだったが、審査が通ったのは、信用面の効果も大きかったようだ。今回のローン会社はJ社。過去、偶然にも4台ほどローンでお世話になってきた会社である。きっちり返済してきたことも、これだけの大きな金額の審査が通った大きな理由らしい。まじめに返しておいてよかった! 実績を積むことは大事なようである。これは、若い人よりも長く人生を歩んできているおっさんだからこそ得られる信用なのかもしれない。

忘れていたが、ローン返済とは別に保険や維持費もかかってくる。そうだ、タバコはやめよう! 月々2万円強の出費を返済や維持費に回せるのはデカい。GT3を買うことで健康にもプラスに働くならいいことだ! と家人にも言い訳がつく。なんてことを考えながら、ローン申し込み用紙に捺印したのだった。

* * *

おっさん、やっと買いましたね。いや買えてよかった(笑)。しかし、納車後、ルンルンのはずが問題発生の模様。一体どうした?

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