新しいEVプラットフォーム
電動化はそのための大きな柱の一つ。なかでも2020年に発表したSEA(サスティナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー)と呼ばれる新しいEVプラットフォームに注目してほしい。AセグからEセグまで対応可能な800Vシステム・スケートボードスタイルのアーキテクチャーである。しかもB2B・B2Cのオープンソースハードウェアだ。
この“SEA”には電気モーターやバッテリーシステムといったハードウェアはもちろんのこと、コネクテッドや自動運転など近未来のソフトウェアも含まれている。そう質的変換とは、“造って売る”から“サービスプロバイダー”になることだった。
エレトレやエメヤで初採用したEPA(エレクトリック・プレミアム・アーキテクチャー)もまた、SEAをベースにロータスが開発したもの。筆者はニューヨークで開催されたエメヤのワールドプレミアに参加したが、同時期にIAAが開かれていたにもかかわらず、ドイツでもなく、ましてや英国でもないビッグアップルで発表したという点に、ロータスと支えるジーリーの意気を感じた。
エメヤはとにかく美しい4ドアクーペで、細かなグレード構成はエレトレ同様となるはず。なかでも前後に2つの高出力電気モーターを持つ高性能グレード「R」は、フロント1速+リア2速のトランスミッションと102kWhの大容量バッテリーを床下に備え、最高出力は最大で905hp、最大トルクも985Nmに達する。最高速こそ256km/hに“とどまる”ものの、0-100km/h加速は2.78秒というからまさしくハイパーGTだ。また1秒間に1000回ものセンシングを行う電子制御エアサスペンションシステムもまたエメヤの走りを支える重要なパートになるだろう。
ロータスは今や英国はもちろん、ドイツ、中国、ドバイなどにも拠点を構えたグローバルブランドとなりつつある。商品ラインアップも、次世代の主力となる電動ラグジュアリーカーから伝統のスーパーカー&スポーツカーあり、ヴィンテージ・リプロダクションありと、世界を見渡してもこれほど充実した商品群展開を見せるブランドは他にない。はたして、この全方位戦略が成功するのかどうか。まずはエレトレやエメヤの日本上陸を待ちたい。
ちなみに、エメヤやエレトレの生産拠点は中国武漢に新設された最新式のファクトリー。一方、エヴァイアやエミーラといったスポーツカーは伝統を重んじて英国にて生産されている。今後もこの生産拠点の区別は変わらないという。