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「クーペ」と「バルケッタ」は今見ても最高のデザイン! フィアットが弾けていた時代の2台とは【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎七生人

バルケッタらしさが表現できていたディテール

もう1台のフィアット バルケッタは、クーペ フィアットのダイナミックさに対して、よりカジュアルで軽快な走りが愉しめるオープン2シーターに仕上げられていた。

このクルマは当時のプントをベースに作られた。全長3920mm×全幅1640mm×全高1265mmのコンパクトなボディは、「小舟」の名のとおりキュートなスタイリング。デザインをまとめたのは、フィアット在籍時代のアンドレアス・ザパディナスで、彼はアルファ ロメオで145、SUBARUでR2、トライベッカなどにも関わっている。

インテリアはフロントスクリーンの付け根部分、インパネ下側、ドアトリム部などにボディ色を引き込み、オープンモデルらしく外と中の繋がりをもたせたデザイン。これは近年ではNDロードスターなどでも見られる手法だ。

さらにいたずらに寝かされすぎないフロントスクリーン、心地よいタイト感が味わえる室内スペースも、バルケッタらしさが表現できていたと思う。また乗り込む際に操作するドアハンドルも、親指でボタンを押すと通常は埋め込まれた細いレバーが起き上がり、それをさらに引くことでドアが開けられる仕組み。ドアハンドルといえばいうまでもなく乗るたびに操作する部分だが、デザインもユニークな専用パーツで、別のクルマのドアハンドルの流用ではないコダワリがいいと思った。

そして走らせると理屈抜きで爽快感が味わえた。ハンドリング云々というより、他のフィアット車同様にクルマの挙動はあくまでも自然体で、山道も街中も気分よく駆け抜けられる……そんな持ち味がよかった。1746ccの4気筒DOHCはアクセルと5速MTの操作に対しストレスなく応えてくれ、これも気持ちよい走りに貢献していた。

デザインは感性によるものだから無粋な解説は不要かもしれないが、あえて言葉で表現するなら、まさしく車名のとおり現実世界を海や湖に見立てて、そこを肩の力を抜いて浮遊感覚で乗る……そんなクルマだったといえばいいか。

同じカテゴリーの2シーターオープンというと、いうまでもなくマツダのロードスターがあったが、アチラが走りの楽しさをスペック側から捉えているのに対して、フィアット バルケッタは、気持ちや感覚に訴えてくる独自の走りの世界観をカジュアルに楽しませてくれるクルマだった。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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