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走行わずか15キロの「原寸大チョロQ」を救出! パーソナルEVの先駆け「チョロQモーターズ」とは【マイクロカー図鑑】

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 近藤浩之

  • 2002年に設立されたチョロQモーターズ株式会社が販売した一連のEV「Qカー」
  • このユーはフロントウインドウにワイパー、ルーフや荷台といった装備も備え、実用性を高めたモデル
  • LEDのヘッドライトに交換している
  • 航続距離は80km(30km/h定地一定)/60km(10モード)
  • フロントウインドウと屋根も備わる
  • シートの後ろにはささやかながら荷台スペース
  • U(ユー)のステッカー
  • ステアリングはMOMOに交換している
  • ODOメーターは現在もわずか19km
  • ドリンクホルダーも備わる
  • シンプルなシート
  • 2010年、某所に眠っていた走行距離わずか15kmという「ほぼ新車」のこの個体に出会い、オーナーに頼み込んで特別に譲ってもらった
  • 今では元気に公道を走れる状態だ
  • Qカーの第2弾として発売されたU(ユー)

チョロQモーターズの「Qカー」第2弾、U(ユー)

かつてはごく少数だったBEV(内燃機関を持たず、バッテリーとモーターのみで走る電気自動車)も、もはや特別なクルマではなくなりつつある。そんな電気自動車がかまびすしく語られる現在だからこそ、約20年ほど昔、時代に先駆けて日本で生まれた小さな「電気自動車メーカー」のクルマたちを、改めて取り上げてみたいと思う。

20年前にパーソナルEVを先駆けたチョロQモーターズ

クルマ系玩具の定番として、昭和の時代から長年にわたり親しまれているタカラ(現タカラトミー)の「チョロQ」。ご存知の通りチョロQとは実車のデザインを全長50mm弱のコミカルなデフォルメのデザインに落とし込み、プルバックゼンマイ駆動で走らせて遊ぶ子ども向けミニカー玩具だ。そんなチョロQを本物のクルマとして再現し、公道を走ってみたい──。一見荒唐無稽にも思えるこのアイデアは、今から20年ほど前に、タカラ自身が手がけたBEVによって現実のものとされている。

タカラが「チョロQの実車」を生産するために子会社「チョロQモーターズ株式会社」を設立したのは2002年のこと。ちなみにロゴの表記は「CQモーターズ(シーキューモーターズ)」だが、正式な会社名は「チョロキューモーターズ」。当時のカタログなどではCQモーターズとチョロQモーターズの表記が混在している。

同社で作られるクルマ(Qカー)はいずれも1人乗りの電気自動車で、その年の7月9日には早くも同社から「Qi(キューノ)」、「U(ユー)」「QQ(ナインナイン)」の3車種が発表された。いずれもトヨタ系メーカー、アラコの小型電気自動車「エブリデーコムス」の基本コンポーネンツの供給を受け、そのシャシーにコミカルなオリジナル・デザインのボディを架装したもの。車両の開発・型式認証取得は、フォルクスワーゲン/アウディのチューニングなどで知られるコックスが担当した。これはチョロQのファンとして知られた同社の渦尻栄治社長(当時)とタカラの佐藤慶太社長(当時)との縁によって実現した協業だ。

Qカー第2弾は屋根も荷台もある「U(ユー)」

今回ご紹介するのはQカーのU(ユー)である。キューノとナインナインがいずれも「いかにもチョロQ」といったオモチャ的な外観なのに対し、このユーはフロントウインドウにワイパー、ルーフや荷台といった装備も備え、実用性を高めたモデルとなっている。

発表会の時点ではキューノとナインナインは実車が展示されていたのに対し、ユーはQカー第3弾としてレンダリング・スケッチだけが発表されていたが、実際にはQカー第1弾のキューノに続いて市販されたのはこちらのユーだった。当時の市販開始後のカタログを見ても「電気自動車Q-CARシリーズ第二弾登場!!」と表記されている。

実用方面にシフトしたユーには、ベーシック、タウン、サーフ、ペット、フィッシングと呼ばれる各種仕様が用意され、オーナーのライフスタイルに合わせて選択できた。これは当時「ライフエンタテインメント企業」を標榜していた同社の方向性にも合致するものだったろう。基本価格は仕様によって119~129万円(消費税別)であった。

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