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走行わずか15キロの「原寸大チョロQ」を救出! パーソナルEVの先駆け「チョロQモーターズ」とは【マイクロカー図鑑】

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 近藤浩之

ずっと休眠していた個体を譲り受けてレストア&カスタム

ユーのボディサイズは全長1990mm×全幅1070mm×全高1600mm。デザインコンシャス(?)なキューノに対し、こちらは使えるツール感が強調された外観だ。車名のユーは「4U(For You)」、すなわちUtility(実用性)、Unique(独自性)、Up coming(未来感)、Up lift(向上性)に由来する。第1弾のキューノ同様、このユーも法規的には原動機付き自転車(四輪)に区分される1人乗り電気自動車。後輪2輪にそれぞれホイールインモーターを備えたRWDで最高速度は50km/hとなっている。家庭用コンセントを用いて8時間程度で満充電、航続距離は80km(30km/h定地一定)/60km(10モード)といった基本スペック自体はキューノと共通。運転に際してはヘルメット着用義務はないが、普通四輪免許が必要だ。

一説によると200台程度が生産されたと言われるユー。今ではほとんど見ることもないこのマイクロカーのオーナーは、埼玉で動物病院を営む水口雪さんだ。この他にも多数の原付カーなどを所有する熱心な「小さいクルマ・コレクター」である。

今から13年ほど前の2010年、某所に眠っていた走行距離わずか15kmという「ほぼ新車」のこの個体に出会い、オーナーに頼み込んで特別に譲ってもらったという。

「長い間放置されていたのでバッテリーや消耗パーツは全滅。7個のバッテリーや充電器、ウィンカーやスイッチ類などほとんどの部品を交換、フロアも傷んでいたので張り替えました」

と語る水口さん。苦労の甲斐あってレストア終了後に無事ナンバーを取得、さらに電圧計を追加したりLEDのヘッドライトに交換したりと、オリジナル状態を活かしつつも一部に独自のカスタムを加え、今では元気に公道を走れる状態だ。

遊び心たっぷりのパーソナルEVだった

ゴルフ場のカートや構内のフォークリフトなど、BEVがまだ限定された用途で使われることが多く一般道を走ること自体が珍しかった時代、玩具メーカーならではの自由な発想で果敢に日本の公道を目指したタカラ/チョロQモーターズのQカー。

──遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん(『梁塵秘抄』)──

無粋なリアリストたちに「時代の徒花」といわれようと、日本の電気自動車の歴史に小さな足跡を残したQカーたちは、熱心なオーナーたちの手によって今なお多くの個体が健在である。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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