砂ぼこりを上げながらゆっくり走るのがまた楽しい
グレンリオ郊外からはルート66では珍しい、荒れた未舗装の路面がしばらく続く。パンクやスタックといった車両トラブルの心配はあるものの、少し離れたインターステートを急ぐクルマの音を聞きつつ、軽く砂ぼこりを上げながらゆっくり走るのがまた楽しいのだ。
道幅はタイトでところどころに小さな橋があり、西を向いた左手には線路を引いていた土盛りもある。上ってみるとレールこそ撤去されているものの、枕木がいたるところにゴロゴロと転がっていた。それらや崩壊した橋梁の脚をじっと眺めていると、交通の要衝として栄えていた当時の姿が思い浮かぶ。
ちなみに以前の回で紹介したジョン・スタインベックの小説を元にした、映画『怒りの葡萄』(1940年)のワンシーンもグレンリオで撮影されたとのことだ。また映画『カーズ』に登場したレーシング・ミュージアムは、ここの「リトル・フアレス・モーテル」がモデルになっている。
最近ニューメキシコ州側に、あるお店がオープン!?
私が何度となくグレンリオを訪れたなかで、他の人と出会ったことはたったの一度もない。しかし近年ちょっとした変化があったようだ。アメリカで嗜好用大麻の解禁が進んでいるのは報道されているとおりで、2021年4月12日からはニューメキシコ州でも大麻の使用が合法となった。自分の足で得た情報ではなく恐縮だが、現在グレンリオのニューメキシコ側には、大麻の販売店がオープンしているようだ。ただし隣接するテキサス州は現在の2023年11月も違法のまま。あえて合法と違法の境界線で大麻を売るのは、アメリカらしいジョークなんだと思いたい。
ところで未舗装路を使わないで大麻販売店「グレンリオ・スモークショップ」に行くなら、必然的にまだ解禁されていないテキサス州を短い区間だが通過することになる。所持・栽培・販売・輸送のすべてが禁止だから、お店の数メートル先で捕まるなんてケースがあるのかも?
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