ボディバリエーションが豊富に用意されていた
それともうひとつ、W124の魅力だったのが、ボディバリエーションが豊富に用意されたことだった。W123もセダンのほかにワゴンとクーペの用意があった。それを受け継いだW124では(ここまでシリーズ名を便宜上W124としてきたが)、クーペ(C124/日本仕様の登場は1987年)、ステーションワゴン(S124/同・1989年)、それと4シーターのカブリオレ(A124/1992年)と、W123を上回るボディバリエーションが用意され、いかにも「貴方のライフスタイルに相応しい1台をどうぞ」といった風に揃えられていた。
とりわけステーションワゴンは人気の高かったモデルで、未使用時にはラゲッジフロアに折り畳んで格納するベンチシートを備え、最大で7名乗車も可能に。積載状態に関わらずつねに車高を一定に保つレベルアジャストメント、バックドアには下まで降ろすことで自動的にロックが作動する機構ほか、ラゲッジルームネットやブラインドなども装備。現役当時には輸入ステーションワゴンを象徴する存在として注目度の高かったモデルだった。
また1991年に登場したマニアックなモデルとして「500E」があった。このクルマは当時の「500SL」(R129)に搭載の5L・V8エンジン(330ps/50.0kgm=1991年12月発売モデル)を搭載、開発と生産の一部をポルシェが手がけた。強化された専用シャシーをもち、フェンダーフレアを張り出させ全幅を1795mmとした専用ボディのハイパフォーマンスモデルだった。
シリーズ名がミディアム・クラスからEクラスへと改められたのはこのW124の時代、1993年のマイナーチェンジ時。この時からカタログの表紙もMIDIUM CLASSからE-CLASSとなり、グレード名の表記も320EがE320という風に変わった。さすがに今は違和感がないものの、慣わしが変わった当時は、たとえばSL500よりも500SLのほうが何となく字面もキレイだったのになぁ……などと密かに思ったことを思い出す。