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80年以上も「ルート66」の旅人を見守る「青いツバメ」とは? 有数の観光名所になっている老舗モーテルを紹介します【ルート66旅_26】

80年以上も「ルート66」の旅人を見守る「青いツバメ」とは? 有数の観光名所になっている老舗モーテルを紹介します【ルート66旅_26】

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

  • 約80年の歳月を越えて灯り続ける、ブルースワロー・モーテルのネオンサイン。夜になればカメラを構えた人がそこかしこに
  • 数え切れないほどあるトゥクムカリのモーテルで、知名度も人気もトップクラスを誇る。ルート66ファンなら一度は泊まるべき
  • 建物の壁にはさまざまなイラストが。右上にある「TUCUMCARI TONITE!」という看板は、フリーウェイ上のあちこちで見かける
  • それぞれの部屋ごとにガレージを完備。壁に描かれているのはルート66の人気を再燃させた、映画『カーズ』の登場人物たちだ。
  • 建て直したり最新の設備を導入するのではなく、昔の雰囲気を大切にしつつ清潔に保っているのがいい。快適に滞在できる宿だ
  • 日本でも昔は当たり前だったダイヤル式の黒電話。実際に使ったことはないけど、フロントとの内線に使えたりするのだろうか
  • ルート66を挟んだ向かいにあるモーテル・サファリ。トゥクムカリではブルースワロー・モーテルと肩を並べるほどの人気だ
  • モーテル・サファリの客室。このときは外装も内装もリフォームした直後だった。広い部屋と液晶テレビなど最新の設備が魅力
  • 食事はモーテル・サファリで紹介してもらった「パウワウ・レストラン」で。隣接する宿「パウワウ・イン」もなかなか高評価
  • 極上のステーキやグリーンチリを多く使ったニューメキシコ料理が味わえる。旅行者だけじゃなく地元の人も多く通う人気店だ
  • 以前モーテルでハズレを引かない基準として、ネオンサインが切れていないことと書いた。ブルースワローはまさしくそれに合致
  • ブルースワロー・モーテルの看板は、夜ばかりでなく青空にも映える。1993年にはアメリカの国家歴史登録財にも指定された
  • ブルースワロー・モーテルとモーテル・サファリ、その間を走るマザー・ロード。ルート66ファンにはたまらない構図だろう

ニューメキシコ州トゥクムカリの名物ブルースワロー・モーテル

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。シカゴを出発して西に向かい、イリノイ州からミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州を経て、ニューメキシコ州へ入りました。今回は、ルート66でも有数の観光名所となっている老舗モーテルを紹介します。

かつて「2000の部屋がある」をうたった古い宿場町

アメリカのドライブ旅行に欠かせないモーテル。基本的に予約がいらずホテルに比べリーズナブルで、全米チェーンから個人経営までスタイルはさまざまだ。ルート66ではモーテル自体が観光名所になっているケースもあり、その代表がブルースワロー・モーテルと言っていいだろう。

テキサス州からニューメキシコ州に入り1時間ほど走ると、トゥクムカリというなんとも難しい発音の街に到着する。ここは「2000の部屋がある」をうたう宿場町で、中心部を貫くルート66沿線に無数の宿が立ち並ぶ。多くは1930~1950年代から続く歴史の長いモーテルで、日が暮れてからのネオンサインが煌々と輝く光景は、リトル・ラスベガスと表現されることがあるほどだ。競争が激しいゆえに清潔かつ接客のクオリティも素晴らしく、事前の下調べなしに飛び込んでも失敗する可能性は少ないだろう。

1941年創業のブルースワロー・モーテルはいまも大人気営業中

そんなトゥクムカリでもっとも有名な宿といえば、1941年に創業したブルースワロー・モーテルだ。聞くところによれば当初から何度か経営者は変わっていたようだが、1958年にフロイド・レドマンが妻リリアンへの婚約プレゼントとして購入。当時としては珍しい全室にテレビとエアコンを完備する宿は、オーナー夫妻の人柄もあってルート66廃線後も人気が衰えず、閉業してしまう宿も多いなか旅人のオアシスであり続ける。

88歳となったリリアンは1998年にモーテルを売却するが、跡を継いだオーナーたちはネオンサインなどを修復しつつ、現在もトゥクムカリきっての人気モーテルとして営業中だ。

客室数が14と決して多くないこともあり、私がここに宿泊できたのはたった2回だけ。夜どころか夕方に到着しても間違いなく満室なので、確実に泊まりたいなら予約がベストだろう。建物は当時のままで決して広くはないし、歩けば床がきしみ音を立てることだってある。ただし清掃は一流のホテルにも負けないほど行き届いており、空調もテレビもWi-Fiもパーフェクトで不便さは皆無といっていい。

部屋の窓越しに煌びやかなネオンサインを眺めながら、ルート66を行き交うクルマの音に耳を傾けていると、廃線前の時代にタイムスリップした錯覚に陥ってしまう。

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