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子どもの車内置き去りの悲劇をなくす「幼児検知システム」とは? ジャパンモビリティショーでのミネベアミツミの展示に注目が集まりました

車内の置き去りを防ぐ技術

「東京モーターショー」から名を改めて、新たに開催されたのが「ジャパン・モビリティショー2023」。クルマ以外の分野も含まれることから多数の来場者が訪れ、2023年の10月28日から11月5日まで一般公開された。そこで未来を提案するスペシャルなコンセプトカーや空飛ぶクルマも注目されたが、今回はすぐにでも商品化できる身近な新技術について紹介したい。ミネベアミツミが発表した新技術の「幼児置き去り検知システム」の詳細をお伝えしよう。

センサーで検知して警告する

ベアリングやモーター、半導体などのさまざまな部品を得意とするミネベアミツミ株式会社(以下:ミネベアミツミ)。そのミネベアミツミがモビリティショーで発表した新技術が「幼児置き去り検知システム」で、近年増加中のスマートフォンのデジタルキーに追加する機能として、実現性の高いものとなっている。

システムを簡単に紹介すると、後席天井に埋め込まれたセンサーが、後席乗員の呼吸による胸の動きを検知。ドアがロックされた際にクルマ側の警告音とスマートフォンに連絡が来るようになっている。その精度は子どもに毛布がかけられていても問題はなく、警告も60秒ごとに続いてドアロックの開錠まで警告が続く。

担当者によるとこのシステムは、同社が長年培ってきたデジタルキーシステムにおけるUWB(ウルトラ・ワイド・バンドの8GHz帯)ソリューションを活用したもので、オランダにあるコネクティビィ・ソリューションのNXP社と共同開発。専用のコンピュータなどが必要ないことから、普及に期待が持たれている。

60Hz帯のミリ波レーダーを使用すると専用のコンピュータが必要になるのに対して、ミネベアミツミは追加装備がなく設置できるため、コストの面でアドバンテージがあるという。

置き去り以外にも技術展開が期待される

こうした幼児置き去りは日本固有と思われがちだがじつは世界的に問題になっており、欧州の車両安全評価試験のユーロNCAPでも2023年から「子どもの存在検知」試験が新設されたほど。

ミネベアミツミのデジタルキーは、住宅のドアの鍵もスマートフォンに収めることができるほか、例えばクルマのトランクの鍵だけを宅配業者に渡せる機能も備えており(ミニバンやハッチバックでは難しいかもしれないが)、今後の展開が期待されている。

そのために、今後はこうした「幼児検知機能」が必須となると、トータルでメーカーに納入できるので、コストの低減も可能となるとみている。

日本以外でも問題化している幼児の置き去り。一番は運転者の問題だが、新技術でなくせるのであれば、早く普及してほしい技術だ。

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