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フェラーリやマセラティも手掛けた! 「ヴィニャーレ」が手掛けたフィアット「600」とは

フェラーリやマセラティも手掛けた! 「ヴィニャーレ」が手掛けたフィアット「600」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

意外に安い? 約450万円で落札!

2023年の「St. Moritz」オークションは、スイス・シュヴィーツ州フライエンバッハに本拠を置く「イセリ・コレクション」から出品されたクルマたちを中核として構成されており、その中には多くのクラシック・フィアットたちが含まれていた。

このヴィニャーレ製スパイダーも、そのひとつ。RMサザビーズ社の公式オークションカタログには、近年に至るまでのヒストリーのたぐいはいっさい記されてはいないものの、1965年5月9日にイタリア国内で初登録されたことは判明しているようだ。

イセリ・コレクションにくわわった現状のコンディションについては、2014年から2016年にかけて行われた大規模なレストア作業の恩恵を存分に受けており、ワインレッドの内装にシルバー・メタリックのボディカラーを組み合わせた、とても魅力的な仕上げとされている。

RMサザビーズ欧州本社は、出品者である現オーナーとの協議の結果、4万8000スイスフラン~5万8000スイスフランというエスティメート(推定落札価格)を設定。さらに今回の出品を「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うことを決定した。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、特に対面型のオークションでは確実に落札されることから会場の空気が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまう落とし穴もある。

そしてこの日のオークションではリスクを冒したことが裏目に出てしまったようで、終わってみればエスティメート下限を大きく割り込む2万7600スイスフラン、日本円に換算すれば約450万円という出品者側からすれば少々不本意、しかし買い手にとってはラッキーな落札価格で小槌が落とされることになった。

フィアット・ブランドのフォーリ・セリエとして、トリノのヴィニャーレ工房で製作されたスパイダーが、めったにマーケットに姿を見せることのない超希少モデルであるのは間違いない。しかし、独フィアット・ネッカーの「ヤクスト770リヴィエラ・スパイダー」として旧西ドイツで生産され、実質的に同じルックスを持つスパイダーは、ヨーロッパのクラシックカー市場では時おり見かけることもあるとのこと。

その事実が、結果としてヴィニャーレ・スパイダーまでも含む希少価値を、そしてマーケットにおける評価を低めたのでは……? とも想像してしまうのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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