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彼女の初めての旧車はバンデンプラ「プリンセス1300」バブル期にヒストリックカー入門車として大人気でした

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

  • バンデンプラ プリンセス1300は1974年式のオートマチック車
  • 1275ccエンジンを備えたADO16
  • クラシカルな美しい内装のバンデンプラ プリンセス1300
  • ウッドパネルが上品
  • ネイビーのシートがクラシカルなインテリアに映える
  • グリルにはバンデンプラ・オーナーズクラブのエンブレムが装着されている
  • 紅く輝くエンブレム
  • シンプルなプリンセス1300のホイール
  • さりげなく貼られたミニクーパーレジスターのステッカー
  • バンデンプラのエンブレム
  • 福井県から参加の大西理恵さん
  • ヒストリックカー仲間の皆さん
  • ジョイフルラリーというラリー競技にお仲間とともに参加した
  • バンデンプラ・プリンセス1300と、オーナーの大西理恵さん

バンデンプラの女性オーナーを発見

「日本海クラシックカーレビュー」から名称を改め、「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」が2023年9月3日(日)、新潟・糸魚川市郊外のフォッサマグナミュージアム敷地内で開催された。その会場で白いバンデンプラ「プリンセス1300」に乗っていたオーナーにお話を伺った。

糸魚川にクラシックカーが集結

地元のヒストリックカー愛好家らが集まり、1992年に新潟県糸魚川市で第1回目が開催された「日本海クラシックカーレビュー」。以来、糸魚川市街の大火やコロナ禍による中止など幾多の困難も乗り越え、上信越・北陸エリアを代表するヒストリックカー・イベントとして定着・発展してきた。今年からはその名称も「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」と改め、一部のコンテンツを見直すなどのリニューアルを行い開催。イベント当日の9月3日(日)、会場となった糸魚川市郊外のフォッサマグナミュージアム敷地内には早朝から130台以上のヒストリックカーが続々と集結した。

長年にわたり続いてきたこのイベントの特徴は、「時代の空気感を大切にしている」ということ。参加車両は1974年以前に生産されたクルマとされるが、単に旧ければよいというわけではなく基本的にはオリジナル重視。少々のカスタムなどはアリだが、それも当時の雰囲気を壊さない範囲内で。と聞くと、参加する側も見る側にとってもいささかハードルが高い高尚なイベントに思われるかもしれないが、さにあらず。スタッフも参加者もひたすらフレンドリーで、会場内の雰囲気はさながら楽しい秋の村祭り。イベント主催者のセンスと見識によるこの絶妙の匙加減が、地元の行政なども巻き込んで30年以上も続いてきた成功のツボであろう。

全員女性の華やかなチーム

このクラシックカーレビュー ITOIGAWAは会場内の車両展示がメインのイベントだが、そのうち30台ほどは午前中に行われる「ジョイフルラリー」に参加する。その中の1台、ラリー競技に参加の白いバンデンプラ プリンセス1300が会場から市内の主要ポイントをめぐるコースに向けてスタートしていったのだが、見ればドライバー、ナビ、そして後席に乗っているお仲間もみんな女性。はたしてどういったグループなのか気になったので、ラリー競技終了後に展示スペースに戻ってきたらオーナーにお話を伺うことにして、バンプラの帰投を待つことに。
 
「自分の周囲に旧車好きの友人がけっこういて、最初のうちはみんなに連れられて各地のイベントを見学に行っていたのですが、気がつけば自分もヒストリックカーに興味を持つようになっていきました」

と語るのは、福井県から参加の大西理恵さん。大西さんのバンデンプラ プリンセス1300は1974年式のオートマチック車。1275ccエンジンを備えた「ADO16」一族としては最後期にあたるモデルだ。当時のTVドラマなどの影響もあり、バブル期前後には街中でもかなりの台数を見かけたバンデンプラ プリンセス。ご存知の通り、オースチン、モーリス、MG、ライレー、ウーズレーと多くのブランドからバッジエンジニアリングの兄弟車が造られたADO16一族の中でも、このバンデンプラ プリンセスは最も上質なポジションを与えられていた。

初のヒストリックカーがバンデンプラ

「このクルマは数年前にヒストリックカー仲間のツテで手に入れました。その時はまだオートマ限定免許だったのですが、少し前にマニュアル免許も取得しました。」

という大西さんにとって初の「ヒストリックカー」となったバンデンプラ・プリンセス。

「手に入れてからはイベント参加を主に楽しんでいますが、ヒストリックカー・オーナーとしてはまだまだ初心者です」

と話す大西さんだが、周囲にはヒストリックカー乗りの友人や先輩が多くいるので不安はないという。ラリー競技終了後に、そんなお仲間たちとランチを楽しんでいた大西さん。今回はエントラントではなく、アシスタント&見学で参加したという他の皆さんにも「ちなみに皆さんも旧い車にお乗りで?」と伺うと口々に、

「あたしはマーキュリー クーガーに乗ってます」「ビュイック スカイラークに……」「サバーバン……」「シトロエンGSブレーク……」「いすゞ117」……。

福井県ヒストリックカー女子チーム、おそるべし。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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