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フィアット「600ムルティプラ」が1300万オーバー!「救急車仕様」と「タクシー仕様」がどうして高額なのか考えます

フィアット「600ムルティプラ」が1300万オーバー!「救急車仕様」と「タクシー仕様」がどうして高額なのか考えます

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

各部の装備が興味深い

最初にご紹介する1台は1960年式の救急車。担架や機材を乗せるためにボディ後半が拡大され、水平なルーフが採用されるなどの特徴を持つ。改装はトリノの工房「カロッツェリア・コリアスコ・アウトヴェイコリ・インストゥリアーリ」が手がけた。この個体は1961年にデリバリーされ、長らくイタリア国内の飛行場で使用された後、スイスの自動車蒐集家ダニエル・イゼリ氏が2013年に購入、その後入念なレストアが行われている。

そしてもう1台のムルティプラはタクシーだ。かつてイタリアのタクシーといえば、その多くがムルティプラであった。

こちらは1964年にデリバリーされたそんなムルティプラのタクシーを、2007年から2009年にかけて、総額5万スイスフラン(810万円)以上をかけてレストアしたもの。ブラックとグリーンの2トーンカラーは当時イタリア各地の都市で見られた典型的な塗り分けで、料金メーター、照明付きルーフサイン(いわゆる行燈)、ルーフラックなどタクシーならではの装備も興味深い。さらにルーフラックには当時の旅行カバンなども付属。この個体の履歴を証明する書類各種も残されている。こちらのムルティプラ・タクシーもダニエル・イゼリ氏の「イゼリ・コレクション」から出展された1台。

オークションの結果、救急車は8万500スイスフラン(邦貨換算約1304万1000円)、タクシーは10万3500スイスフラン(邦貨換算約1676万7000円)でそれぞれ落札された。決して安い買い物ではないが、これは当時のイタリアの空気を現代に甦らせる「タイムマシーン」としての意義も含めた落札価格ということであろう。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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