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いすゞ「ベレット1500」一筋56年! ワンオーナー車はもはや家族、父と娘で「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」に参加しました

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

  • いすゞの1967年式ベレット1500 2ドア・デラックス
  • スポーツ・モデルでない2ドア・デラックスは非常に希少だ
  • 内外装ともにそのコンディションは良好だ
  • 56年前に製造された走行距離13万km以上というクルマとは思えないほどのコンディション
  • ドアの内張にはまだ新車当時のビニールが残っていた。内装を見ても大切に乗ってきたことがわかる
  • 1967年式ベレット1500のエンジンルーム
  • 昭和42年(1967年)に新車で購入し、13万km以上も走行したエンジンは好調のようだ
  • 刻印は昭和41年となっている
  • レトロないすゞのエンブレム
  • デラックスの刻印が誇らしげ
  • 1500のエンブレム
  • 字体がモダンなベレットのエンブレム
  • センターにいすゞの刻印が入ったホイール
  • フェンダーミラーはウィンカーの点滅と連動して光るギミックが備わっている
  • 昭和42年(1967年)に新車で購入して以来、ずっと乗り続けているという
  • いすゞのベレット1500 2ドア・デラックスと、長野県から父娘で参加したオーナーの折野和富さん
  • 1967年式ベレット1500 2ドア・デラックス

1967年以来のワンオーナー

「日本海クラシックカーレビュー」から名称を改め、「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」が2023年9月3日(日)、糸魚川市郊外のフォッサマグナミュージアム敷地内で開催された。その会場でいすゞ「ベレット1500」に乗っていたオーナーにお話を伺った。

超希少な2ドア・セダンのベレット1500 

今を遡ること30年以上前の1992年に、新潟県の糸魚川市で第1回目が開催された「日本海クラシックカーレビュー」。いまでは上信越・北陸エリアを代表するわが国有数の老舗ヒストリックカー・イベントとして広く認知されている。しかし、その知名度と人気ゆえ会場やスタッフのキャパシティ的は飽和状態となりつつあった。そこで昨年のイベントをひとつの区切りとして「日本海クラシックカーレビュー」としての開催は一旦終了。今年からはその名称も「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」と改め、参加台数のスリム化、市内パレードの割愛など、一部コンテンツを見直したうえで、9月3日(日)に改めて開催されることとなった。

このイベントの参加車両は国籍を問わず1974年以前に生産されたクルマ。いずれも基本的にはオリジナル重視で、そのクルマが生まれた時代の空気感が大事にされている。これはイベントが始まった時から一貫して変わらないクラシックカーレビューの大きな美点で、そこには糸魚川クラシックカークラブをはじめとする主催者側の見識の高さが窺える。

ちなみに今回のクラシックカーレビュー ITOIGAWAの参加車両130台のうちおよそ2/3となる87台が国産車だったが、いずれも素晴らしいコンディション。それぞれのクルマに対するオーナーの愛情は推して知るべしであるが、その中でもひと際目を引いたのが1967年式ベレット1500 2ドア・デラックスだ。

現在では商用車専業メーカーとして知られるいすゞだが、そのルーツを辿れば同社の前身である東京瓦斯電気工業が1916年から自動車メーカーとしての活動をはじめており、その意味では日本最古の自動車メーカーである。かつてはいすゞ、トヨタ、日産が自動車メーカー御三家とも言われていた。そんないすゞが1963年から1973年にかけて生産していたのが、いすゞベレットである。もともとは前任のいすゞ「ヒルマン」の後継として生まれた垢抜けた2/4ドア・セダンであるが、現在ではDOHCエンジンを搭載したスポーツ・モデルのGTRの印象が強い。昨今のイベントなどで見かけるベレットもほとんどがGTR、あるいは1800GTなどのスポーツ・モデルだ。だからこの異形ヘッドライトを備えた2ドア・セダンはとても珍しい。

家族の歴史の一部である愛車

「このクルマは昭和42年(1967年)に新車で購入して以来、ずっと乗り続けています」

と語るのは長野県から親娘で参加の折野和富さん。やはり同年代の他社のクルマに比べ、どこか欧州車的な風情のベレットは魅力的に映ったようだ。ということで、娘さんの物心がついた時から、折野家のクルマはこのベレット1500 2ドア・デラックス。オドメーターは3万7501kmを指していたがこれはもちろん1周したもので、走行距離はプラス10万kmとなる。

「パーツが貴重なのは分かっているので、ウインドウ・レギュレーターひとつ回すのにも部品に余計な負荷がかからないように慎重に扱っています」とは娘さんの弁。

「さすがに最近では普段使いは少なくなり、イベントへの参加が多いです。この糸魚川のイベントは2回目ですが、普段は地元長野のエムウェーブで開催されるイベントなどによく出かけています」

と折野さん。また「クルマをいじるのも好きなので、乗らない時も普段からあちこち手を入れています」というだけあって、56年前に製造された走行距離13万km以上というクルマとは思えないほど、内外装ともにそのコンディションは良好だ。室内を見せていただくと、なんとドアの内張にはまだ新車当時のビニールが残っていた。

「フェンダーミラーはウインカーの点滅と連動して光るギミックが備わっているんですよ」

と補足の説明してくれるのは娘さん。この1967年式ベレット1500 2ドア・デラックスは単に貴重なヒストリックカーというだけでなく、半世紀以上にわたる折野家の歴史の一部なのだ。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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